“見えない恐怖”突然の道路陥没 「高度成長期から50年。インフラ整備の転換点」と専門家は指摘
■関西でも自然の影響で道路の下に空洞発生
いまも市民生活に影を落とす、広島市の道路陥没。 実は、関西各地にも道路陥没のリスクは潜んでいます。 【記者リポート】「9月27日に空洞が発見され、2日間通行止めにして調査を行ったということです」 淡路市のこちらの道路は、波による影響などで道路の下に空洞が発生。 その大きさは幅3.5メートル、深さ3.5メートルにも広がっていたといいます。 パトロール中に異変に気が付いたため、陥没は未然に防げたものの、海や川の近くなどは、このような自然の影響による事故のリスクもあるということです。 【兵庫県洲本土木事務所 辻元裕二課長補佐】「浸食といいまして、波をかぶると中の方の土が抜けていく。(この地域は)全体的にそういう危険性はあるので、常にパトロールして変動がないか調査している」
■市民生活への影響が長引くわけ
さらに、南あわじ市では去年9月に発生した道路陥没の影響が今も続いています。 【記者リポート】「南あわじ市のこちらの道路、陥没が発生して1年1カ月がたった今も、通行止めがされています」 ことし12月末の工事完了を目指していますが、長引く工事には海岸道路特有の事情が…。 (Q.まだ復旧に至らないのはなぜ?) 【兵庫県洲本土木事務所 藤井健夫課長】「冬季風浪(とうきふうろう)の影響もありまして、12月末ぐらいから3月末ぐらいまで波がきつくて、こういう道路を造っても、波で壊れてしまう。道を造るのも4月にならないと造り始められない。冬季風波が影響してくるのが、ここの現場の特殊事情だと思う」
■都市部特有のリスク「繰り返し地下を掘る」「埋設物が多い」
また、道路陥没は郊外だけではなく、都市部特有のリスクも存在すると指摘するのは、土木計画が専門の小池教授です。 案内してもらったのは、うめきた2期をはじめとする大規模な再開発が進む、大阪駅周辺。 【神戸大学大学院 小池淳司教授】「博多駅の近く、今回の広島、このあたりでも大阪(駅)近辺でも、何度も何度も掘り返して工事をしているので、どこが空洞化してるか、非常に分かりにくい」 8年前に福岡県、博多駅前で起きた地下鉄の延伸工事中の大規模な陥没事故。 都市の中心部は、繰り返し地下を掘って開発が行われるほか、埋設物も多いことなどがリスクにつながるそうです。 【神戸大学大学院 小池淳司教授】「いろんなパイプとかケーブルが入っている場所。それから元々、自然条件で地下水が流れやすい場所。こういった所はリスクが高いと言えますし、ここ(大阪駅)は上から掘っているが、矢板というのでせき止めているが、矢板から地下水が漏れて、それをきっかけに砂が抜けて、その周りで陥没するということが起きる」