屋根に太陽光電池を載せて「ソーラー発電」だけで走るクルマ……は今の技術ならできる? マジメに計算してみた
プリウスPHEVは1年間の太陽光発電で1200km分を賄える
国家としての国際公約「2050年カーボンニュートラル実現」に向けて、化石燃料の消費を減らし、再生可能エネルギーの活用を増やすことが進んでいる。そうしたなかで、身近な存在として目立っているのがソーラーパネルによる太陽光発電だろう。 【写真】まだまだ交換式バッテリーでクルマは動かせない? ホンダ「モバイルバッテリーパック」とは 山や丘などの木々を伐採して多量のソーラーパネルを置いた「メガソーラー」と呼ばれる太陽光発電設備を見かけることは増えている。それによる悪影響(土砂災害など)を指摘する声もあるが、日本の発電における太陽光発電の比率はすでに10%を超えているという話もある。逆に火力発電は、直近5年で1割近く減っているという試算もあったりする。 もはや再生可能エネルギー発電は欠かせない存在となっているのだ。そうしてソーラーパネルで発電した電力を、マイカーのEVやPHEVの充電に利用することで、エネルギー的に自立しているというオーナーも増えているのではないだろうか。 しかしながら、車両単体で太陽光を利用して走行する「ソーラーカー」については、残念ながら量産レベルでは実用化していないのが現状だ。 2023年に発売されたトヨタ・プリウス(PHEV)にはルーフをソーラーパネルに置き換え、それによって駆動用バッテリーなどを充電するという機能が設定されているが、そのポテンシャルは1年間で1200km走行相当となっている。 量産されているソーラーパネルの発電能力は一定ではないが、最大出力としては200W/平方メートル以上が期待できる。ただし、固定される太陽光発電の場合は、常に最大出力が維持できるわけではない。季節によって日照時間も変われば、外気温や天候による影響も受ける。 ちなみに高温になるとソーラーパネルは性能が落ちるので、太陽光がさんさんと降り注ぐ夏は太陽光発電のベストシーズンでなかったりするのだ。諸条件を織り込むと、200W/平方メートルのソーラーパネルは年間200kWh程度の発電量を見込むことができる。 前述したプリウスPHEVの電力消費率は7.46km/kWh(参考値)となっている。ここから計算すると、1200km走行に相当する電力量は160kWhと導くことができる。つまり、1年間で160kWhの発電ができるということだ。プリウスPHEVのルーフサイズからすると、標準的な発電能力をもったソーラーパネルが使われているといえそうだ。 こうしてプリウスPHEVのソーラーパネルによる走行性能を整理すると、ソーラーカーの実現が近づいているという印象も受ける。一般ユーザーの平均的な年間走行距離は5000~6000kmといわれているので、すべての走行をカバーできるほどではないにしても、年間走行距離の20~25%に相当する電力を、ルーフのソーラーパネルで賄えるのだ。
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