輸出規制の解釈、捜査の妥当性で依然争い 大川原化工機国賠訴訟が25日に結審の見通し
これに対し原告側は、巡査部長の証言は巡査部長が記したノートの記載と矛盾すると主張。都側は、ノートは何者かが無断で持ち出した違法収集証拠だと批判している。
法廷では、捜査への批判も出た。原告側の証人として出廷した男性警部補は捜査の進め方に「問題があった」とし「組織としても日本の安全を考える上でも立件する理由はなかった」と述べた。
■公安部に捜査指導官設置
大川原化工機の起訴取り消しを巡り警視庁は、公安部に捜査指導官を置き証拠の吟味について評価するとともに、幹部の研修を充実させ、指揮能力の向上を図っていることを明らかにした。
今月19日に開かれた記者会見で中島寛公安部長は、国家賠償請求訴訟で証人として出廷した捜査員が「事件は捏造」と証言した点について「捏造とされる事実はない」とした上で「公訴が取り消しになったことは真摯に受け止めている」と述べた。
捜査に当たったのは外事1課だったが、令和3年7月の起訴取り消し直後、当時の課長が捜査の問題点を検証するため捜査員を対象に匿名のアンケートを実施。一部報道で「課長が警察庁幹部に叱責され、アンケートの回答を廃棄した」とあったが「幹部からの叱責や指示により廃棄した事実はない」とした。
アンケートは2代後の課長まで引き継ぎ、課の組織運営や業務管理に活用。「結果を読むのは課長のみにしてほしい」という一部の捜査員からの要望や、国家賠償請求訴訟で事実関係の整理が進んだため、作成から約1年後に廃棄したとした。(大渡美咲)