「守備が好きじゃなかった」サンチョがパリSG戦で見せた“成熟した姿”。マンUでは鳴かず飛ばずもドルトムントで躍動【現地発コラム】
「守備をすることには意味があるんだよ」
選手それぞれに背景がある。どこで生まれ、どんな両親のもとで、どんな環境でどのように育ってきたのかがまるで違う。センシブルな選手も少なくはない。そこを理解しようとする存在が周りにいるかどうかがとても大事なファクターとなる。 「例えば、ジェイドンはどこから来たのか? どんなリズムで暮らしているのか? 彼にとっての動力源となるものはなんなのか? それを考慮しなければならない。指導者としてエンパティをもって向き合い、彼という人間を理解しようとする。選手が指導者への信頼を感じてくれたら、地に足をつけて取り組むことにもつながるし、それぞれが自分のキャリアに挑戦していく中で助けになることができると思うんだ」 熱を込めて語るジーベルトは、《サンチョにおけるサッカーへの動力源》について次のように話してくれた。 「ジェイドンはプレーへの喜びを持った選手だ。プレーすることを愛している選手だ。プレーインテリジェンスがあって、ボールをもって様々なプレーをすることができる。でも守備をすることは好きじゃなかった。何度も説明したよ。『いい守備ができるようになったら、もっといい攻撃ができるようになるんだ』って。『守備をすることには意味があるんだよ』というふうに話したんだ。でも、もし僕らが『ジェイドン、守備はしなきゃダメなんだ!』『守備をしないなら起用しないぞ!』というトーンで迫っていたら、彼はやる気を失っていただろう」 いつまでも子どものままではいられない。いつまでも周りに守ってもらってばかりでは、そこから先の道を切り開くのは難しいかもしれない。プロ選手としてチームの戦術的規律を守れないのでは、チーム全体に迷惑が掛かってしまう。でも選手が抱えている心の悩みに耳を傾けることは、お互いにとってコミュニケーションを取るうえで欠かせない。ドルトムントにはそれがあった。 「いろんな選手がいるんだ。守備が好きな選手もいる。ボールを奪い取るのに喜びを感じる選手がいる。選手それぞれをインディビジュアルに見なきゃだめだ」 そんなジーベルトの教えはサンチョの中に残っているはずだ。パリ戦でサンチョは何度も守備にも走った。ボール奪取をして、チャンスにつなげたシーンもあった。足を止めそうになる場面もあったが、すぐに心の弱さを振り切ってまた走り出した。パリ戦だけではなく、今後ずっとそうした成熟した姿を見せてほしいものだ。 取材・文●中野吉之伴
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