私立大学の学校推薦型選抜の公募制を利用し、滑り止めに合格する戦略を伝授
最近の受験は入試方法が多様化しており、さまざまな方式での合格が可能となっています。特に私立大学の受験戦略として使いやすいのが「学校推薦型選抜公募制」です。上手に使うことで、私立大学の受験を有利に進めることができます。今回は私立大学の学校推薦型選抜公募制の解説、公募制を受験する上でおすすめの大学を紹介していきます。(鈴木優志:大学受験専門AXIV ACADEMY 代表) 【表】難関大に現役で合格するには、 1日あたり何時間学習時間が必要か?
学校推薦型選抜とは?
学校推薦型選抜とは、一般的に「推薦入試」と言われている入試方式のことです。高校の推薦を受けることで出願することができます。選考方法としては書類審査・小論文・面接などが中心となっていますが、一部の大学では共通テストや独自の学科試験を課す場合もあります。 学校推薦型選抜には「指定校制」と「公募制」の2種類があります。指定校制では、大学が指定した高校の生徒のみが出願することができます。一方で公募制は、大学の求める条件を満たしていれば、どの高校の生徒でも出願できる選抜制度となっています。
公募制は併願が可能な場合がある
推薦入試と聞くと、「合格したら必ずその大学に入学しないといけない」と思われている方も多いと思いますが、公募制の場合は、大学によっては併願受験が許容されていることもあります。 併願可能な大学であれば、合格後に入学しなくても問題ありません。そのため、受験日が被っていなければ公募制で複数の大学を受験することや、公募制と一般選抜のどちらを受験することも可能です。複数の大学を受験しつつ、志望度の高い大学を選択できるというのがポイントです。 注意点としては、併願可能かどうかは大学や学部によって異なるという点です。公募制を併願受験する場合は、しっかりと大学の入試要項を確認する必要があります。
公募制を受験戦略に組み込むメリット・デメリット
公募制は併願受験することができるため、受験戦略に組み込むことでより効率的に勉強ができたり、合格率を上げたりすることができます。上手に利用することで受験を有利に進められますが、メリットだけではなくデメリットもありますので、紹介します。 メリット1:滑り止めを早く確保できる 学校推薦型選抜は一般選抜よりも早く受験が実施されるため、併願可能な大学・学部に合格できれば、早めに滑り止めを確保することができます。実際の出願では、滑り止めはできれば進学したくない大学になっていることが多く、滑り止めやその付近の難易度の大学をいくつか受験し、その対策に時間を取られることがあります。そのため、公募制で志望順位の高い併願校に合格できれば、滑り止め対策に時間を取られず、それ以降の1月・2月では志望度の高い一般選抜の対策に絞ることができます。 ※実際の日程は大学によって異なる メリット2:入試科目数が少ない・基本的な問題が多い 公募制の場合、一般選抜より入試科目が少ない大学が一般的です。例えば、私立大学を見ると「調査書+外国語+国語」など2科目で受験できる大学もあります。面接や小論文などが課される場合もありますが、学力試験のみで受験できる大学を見つけることができます。一般選抜の勉強とは別に対策する必要がないため、効率的に勉強を進めることができます。 また、出題内容まで見てみると、基本的な問題が出題されるケースが多いようです。早いタイミングでまだ発展まで進めていない場合でも、大いに合格できるチャンスがあります。 メリット3:モチベーションを維持できる 受験日が11月・12月となっているため、一般選抜より受験日が早くなります。そのため「夏休みだけど、あと数か月で受験だから頑張ろう」と、一般選抜のみを受験する生徒よりも早いタイミングで気合いが入る生徒が多くいます。そのため、モチベーションを維持するキッカケとしても有効です。 メリット4:受験の練習ができる 大学受験は基本的に一発勝負であるため、慣れていなくて試験中に焦りや緊張が出る生徒もたくさんいます。特に初めての入試となると、思うように力を発揮できないケースもあります。 公募制の早いタイミングで受験ができると、一般選抜に向けて練習することが可能です。受験日までの準備や当日の雰囲気を味わうことができるため、一般選抜の練習という点では大きなメリットがあります。 デメリット1:入学金がかかる 公募制で滑り止めを確保できた場合、本命大学の一般選抜の合格発表前に入学金の納入期限が来る場合がほとんどです。そのため、滑り止めとして確保するためには、入学金を支払う必要があります。基本的にその入学金は返還されないため、無駄な出費になります。 デメリット2:不合格するとモチベーションが低下する場合がある たとえ志望度が高くない大学の場合でも、不合格となると落ち込んでしまう生徒もいます。勉強に気持ちが入らないとなると、一般選抜に向けての対策がはかどらなくなります。年末から受験日当日までは、最後の追い込みをする特に大事な期間であるため、注意が必要です。