アリス・ポッツ:バイオテクノロジーと汗の結晶による ファッションアクセサリー
汗の結晶
課外活動のプログラムへの参加を起点に、彼女は生分解性素材の開発に着手し始めた。なかでも、INPerspireプロジェクトは、彼女のキャリアにおいて画期的な取り組みとして位置づけられる。
INPerspireプロジェクトで彼女は、人々の汗から得られた結晶で飾られた通常の野球帽を、非凡な芸術作品に変えた。このユニークなプロジェクトには、合計8人の背景やライフスタイルの異なる参加者を迎え、6週間に渡って同じ野球帽を被ってもらったという。ポッツは、「このプロジェクトは、個々の本質、彼らのライフスタイル、身体性を捉え、それを触れることのできる視覚的な形に変えることについてだった」と指摘する。 このプロジェクトを通じて彼女は、形成される汗の結晶の種類が、食生活、ライフスタイル、性別などの個人的な要因によって顕著に異なることを発見したという。これらの結晶の微妙な相違点はクロマトグラフィーを使用してさらに分析され、実際に6週間後の野球帽は、汗の個人個人の生物学的な構造を反映したユニークな結晶構造を形成している。
実際に結晶を作るには、多量の汗が必要であるため、彼女はアスリートとコラボレーションすることが多いという。作品を作るにあって、参加者には6週間毎日、汗をかいて、収集することが求められた。そうして収集された汗は、純度の高い塩の粉を抽出するために、蒸留プロセスに似たろ過をのプロセスを踏む。「例えば香水をたくさんつけている人が汗をかくと、古い皮膚がたくさん出てきます。また、皮膚には天然の油分も含まれています。こうした余分なものをろ過のプロセスで取り除くのです。」そうして精製された汗は、製品上で結晶構造として有機的に成長するように、「接着剤や接着材は使用せず」、独自の方法で再統合される。
「私がとてもエキサイティングだと思うのは、汗は、ひとりひとり違うということ。分子構造の違いを、ライフスタイルの違いなどからプロジェクトを通じて、実際に見ることができるのです。そしてその人の最も純粋な姿を芸術的な方法で見ることができる。自分のクリエイティブワークを通じてこれを見せることができるのが、とても重要だと思うのです。」