ハマス最高指導者後任、イランに近いハイヤ氏指名の公算大
(ブルームバーグ): イスラム組織ハマスは殺害された最高指導者シンワル氏の後任にカタール在住のハリル・ハイヤ氏を指名する可能性が高い。ハイヤ氏が最高指導者に就けばイランとの関係はより緊密になり、今後のイスラエルとの戦いにおいてイランの影響力は増す見込みだ。
ハイヤ氏は、7月にテヘランで殺害された当時のハマス指導者イスマイル・ハニヤ氏の薫陶を受けた。ハイヤ氏はガザ停戦と人質解放を巡るイスラエルとの間接交渉を主導してきた。
ワシントン近東政策研究所のガイス・アル・オマリ上級研究員とネオミ・ノイマン客員研究員は「次の指導者はほぼ間違いなく、ドーハのハマス指導部から選ばれるだろう」とした上で、ハイヤ氏が就いた場合は「ガザの戦線とイランとの関係維持の両面で、シンワル氏の路線を継承しようとする可能性が高い」と指摘した。
ハイヤ氏は18日のビデオ演説で、少なくとも暫定ベースで最高指導者に就くと示唆。シンワル氏が殺害されたことが徹底抗戦のモチベーションになるとし、イスラエル軍がガザへの侵攻をやめない限り、人質は解放されないだろうと言明した。
ハイヤ氏は政治的な指導者と見られているものの、イランと緊密に連携して昨年10月7日のイスラエルへの奇襲攻撃を実行した軍事チームの一員とも依然見なされている。
イランの最高指導者ハメネイ師は19日の声明で、シンワル氏が殺害される前にイスラエル兵と戦った「揺るぎない決意」を称賛。「ハマスは健在であり、今後も生き続けるだろう」と述べた。
欧州リーダーシップ・ネットワークの政策・影響担当ディレクター、ジェーン・キニンモント氏は、ハイヤ氏がハマスの最高指導者になった場合、特にイランのいわゆる「抵抗の枢軸」であるハマスとヒズボラがイスラエルによって壊滅的な打撃を受けた後ではイランに有利に働く可能性があると指摘した。
原題:Hamas Seen Picking Leader Close to Iran After Sinwar Death (1)(抜粋)