公務員として働く友人夫婦が「年金は2人で30万円だから老後は安泰」と言っていました。わが家は片働きで「15万円」なのですが、年金のみでの生活は難しいですか?
定年後は仕事をせず、夫婦でのんびりと「ゆとりある生活」を送りたいと考える人は多いでしょう。ただ、公的データをみると、ゆとりある生活をするには毎月40万円近いお金を使うことになります。ゆとりある生活を目指すなら年金だけでは不足することが考えられ、現役時代に可能な限り貯金しておくことが求められます。 本記事では老後に毎月必要な最低限の費用はいくらなのか、一般的な家庭では最低限の生活やゆとりある生活を実現するためにどのくらいの貯金が必要かを解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
最低限度の生活を送るにも月23万円必要というデータがある
生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、定年後に夫婦2人で生活する場合の最低限の生活費は平均で「23万2000円」です。 同調査によれば、老後の生活費をまかなうための手段として「公的年金」と答えた人が最多で87.0%、次いで「預貯金」と答えた人が71.8%という結果になりました(複数回答)。この結果から、ほとんどの人は年金と現役時代に作った貯金で老後の生活をすることが分かります。 では、老後の収入の柱である年金はいくらになるのでしょうか? 今回はモデルケースとして、現役世代は会社員だった夫と専業主婦の妻の夫婦を考えてみます。 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の月の平均受給額は約14万4000円です。一方、国民年金(老齢基礎年金)の月の平均受給額は約5万6000円です。 会社員だった夫と専業主婦だった妻の年金を合わせると月約20万円の収入ということになります。
年金額月20万円の夫婦が最低限の生活のために貯めておくべき貯金額
老後に最低限度の生活を送るのに必要な金額が23万円、老後の年金収入が夫婦2人で20万円とすると、月に3万円の赤字と計算できます。 厚生労働省によれば男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.14歳です。今回は間をとって、夫が65歳で定年退職してから85歳まで夫婦で健康に過ごしたと仮定します。月3万円の赤字が20年続くと考えると、退職金や現役時代の貯金で「720万円」が必要になる計算です。