なぜ広島次期監督は野村氏再登板や黒田氏抜擢説が消えて佐々岡投手コーチ昇格案が最有力となったのか?
広島の次期監督は佐々岡真司1軍投手コーチ(52)の昇格案が最有力になっていることが3日、明らかになった。Bクラス転落の責任を取って辞任した緒方孝市監督(50)の前任者、野村謙二郎・元監督(53)の再登板や、黒田博樹氏(44)の抜擢案は見送られた模様。なぜ野村氏、黒田氏の名が消え、佐々岡投手コーチ案が急浮上したのか。広島の監督人事は9日までに固まる方向だ。 広島は、当初、緒方監督を慰留していたが、退任の意思が固かったため次期監督の選任作業に入った。佐々岡投手コーチの内部昇格、野村元監督の再登板、元メジャーリーガー、黒田氏の抜擢案などが検討された。 2014年からBクラスのチーム再建を引き受けた野村元監督は、菊池涼、丸をレギュラーに育て、鈴木、田中らにチャンスを与えた。堂林の育成はうまくいかなかったが、2度、クライマックスシリーズ進出も果たし緒方前監督が3連覇を果たす土台は作った。 丸がFAで去り、田中が不振に陥り、菊池、會澤らの今オフの去就が注目されるなど、再建が急務となったチーム状況を見ると野村元監督の再登板は適材だったのかもしれない。またメジャーから復帰して広島の優勝に貢献した黒田氏の強烈なリーダーシップとメジャーを経験した野球知識、そして、そのファンに支持されている人気も魅力。しかし、広島は球団として準備していた中長期の監督起用プランに沿って佐々岡投手コーチ昇格案を最有力案として固めた模様だ。 広島では、よほどの不振でない限り、指導能力がありチームに貢献してきた生え抜きOBと、5年の長期契約を結び、“順番にチャンスを与えていきたい”という方針がある。 歴史を振り返っても、過去に再登板したのは、実質、白石勝巳氏と、山本浩二氏の2人だけ(森永勝也氏もルーツ監督の途中退任を受け代行として再登板経験はあるが)。山本氏は1989年からの第1次政権、2001年からの第2次政権と、いずれも5年指揮を執ったが、これは超大物OBの山本氏だからこその異例ケース。基本的には功績と指導者適性のあるOBを順に監督起用していきたいという考え方があり、「次は誰」、「その次は誰」の長期構想があり、コーチなどで経験を積ませると同時に適性を確かめながら次期監督候補を準備してきた。