「ヨーロッパでの食生活を支えてくれたのはサーモン」元サッカー女子日本代表・岩渕真奈さんと魚食
カラダが資本のアスリートにとって、食べることもトレーニングの一環。最高のパフォーマンスを支えた「魚食」について伺った。今回は「元サッカー女子日本代表・岩渕真奈さんとサーモン」について。
ヨーロッパでの食生活を支えてくれたのはサーモン
なでしこジャパンのエースとして、日本女子サッカー界を牽引。バイエルン・ミュンヘンやアーセナルなど海外のクラブでも活躍し、長く海外を拠点にしていた岩渕真奈さん。そんな彼女を支えたのも“魚のチカラ”だった。 「ランチは基本的にクラブハウスで提供されるものを食べていました。数種類用意されているメインの中から、進んで魚を選んでいましたね。といっても日本のように種類が豊富にはなく、断然多かったのがサーモン。ヨーロッパのサーモン、おいしいんですよ。 料理が好きで、夜は自炊。これまたサーモンをオーブンでグリルして、レモンを搾ったり、醬油とバターで和風にしたり。ムニエルや南蛮漬けにすればまた違う味わいになり、飽きることもなかったです。日本食が恋しくなることもありましたが、おいしいサーモンのおかげでストレスは感じませんでした」 岩渕さんが特に魚を欲したのは、スタジアムを駆け回った試合直後。 「疲れた時はがっつりお肉の気分にはならなくて。魚のいいところは、お腹に負担がかからずライトにタンパク質が補給できるところ。 試合後にチームが用意してくれる食事に魚があればそれを食べましたし、かまぼこメーカーの〈鈴廣〉が作っているフィッシュプロテインバーも重宝していました。冷凍保存していて、バスでの移動中に食べるのも、チームメイトはピザ、私はかまぼこ(笑)」 岩渕さんにとって食事は、“幸せを感じるためのツール”。 「おいしいものを食べればストレスも発散できる。私は栄養バランスをストイックに気にするタイプではなく、魚をよく食べるのも、純粋に好きだから。年々お肉の脂にやられるようになってきてしまい、最近ますます魚派になっています」 2023年、長きにわたる海外での現役生活を終えてからは、日本各地の魚料理を満喫している。 「自由な時間ができて地方に行く機会も増え、地魚のおいしさに開眼。最近感動したのが、千葉の九十九里で食べたイワシのごま漬け。イワシのように、骨も頭も丸ごと食べられる魚は、“栄養摂ってるな~”という満足感があって、特に好きです!」
プロフィール
岩渕真奈(いわぶち・まな)/元サッカー女子日本代表。1993年生まれ。16歳で日本女子代表に選ばれ、2011年には女子ワールドカップ優勝、12年ロンドン五輪準優勝。なでしこジャパンの中心を担い、90試合で37得点を挙げる。ドイツ、イングランドでのプレーを経験し、引退後は女子サッカーの普及活動などを行う。
初出『Tarzan』No.873・2024年2月8日発売