250万円以下で買えるるホンダの新型SUV「WR-V」。タイ開発、インド生産し、逆輸入車として日本導入した意図
そして2012年には、ホンダR&Dアジアパシフィック初の開発モデル「アメイズ」をタイなどで発売。その後、ミニバンの「ブリオ」やSUVの「BR-V」などの車種を開発。それらの車種は、タイのみならず東南アジア、さらにインドや南アフリカなどにも輸出される。そして今回のWR-Vは、ホンダR&Dアジアパシフィックで開発した初の日本向けモデルとなる。 ■WR-V開発について 前置きが少し長くなったが、ホンダR&Dアジアパシフィックの歴史は長く、開発力や品質面の高さもうかがえる。そして今回は、WR-Vを担当したホンダR&Dアジアパシフィックのアシスタントチーフエンジニア平村 亘さんに開発のほか、タイやインドの自動車事情などについて伺った。
まず、WR-Vの開発でこだわった部分を平村さんに聞くと、「シンプルに、お客さまのために早くデリバリーできるクルマを開発することです」と第一声が返ってきた。続けて「インドでエレベイトが人気だから日本導入したわけではなく、開発段階から日本市場への導入が決定していました」と付け加えた。 最初から日本を含む、グローバル市場での展開を見越してWR-Vは開発されたのだ。そして、その役割をタイのホンダR&Dアジアパシフィックが担ったわけだ。
今の時代になぜEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)ではなく、あえてガソリン車のみの設定なのだろうか? それに対しては、「タイや日本などでの販売を考えてEVやHVも検討しましたが、景気の先行きが見えない状況ですし、開発費がかさめば車両価格も上がります。それに今は取捨選択の時代でもあるので、あえてガソリン車に絞って開発しました。 また、インドのユーザーは、複雑な機構を持つHVなどに対して、故障や修理費に不安を覚える人も多いので、シンプルなガソリン車が最適解だったというのもあります」と平村さん。
■EV、HVなら異なる選択肢がある タイの開発現場やユーザー嗜好について聞くと、「タイのホンダでは、中国で開発したヴェゼルをベースにしたコンパクトSUVのEV「e:N1」の生産も行っているので、EVやHVの開発・生産も可能です。また、タイでは、日本同様にEV購入に関する補助金制度があり、新しいもの好きな国民性も相まって電動車が人気です。ただ、タイは水害が多く、一部ではEVが水没して不動になったというニュースが報道され、HVやガソリン車へ回帰する流れもあります」という。