池坊議長発言でネット炎上。「礼を欠いた」での処分は論点がずれていないか
貴乃花親方は、今回の処分を電話で知らされ了承したとされているが、今後もまだ火種は残る。 前出の荒井氏は、今後の問題点として、こんな指摘をする。 「2月の理事選におそらく貴乃花親方は立候補して当選するだろうと見られます。理事選は、あくまでも理事候補選挙であり、評議員会が承認して理事となります。今回解任を承認した評議員会が再び、忠実義務違反をした貴乃花親方の理事を承認するとなると、そこに整合性が取れないという矛盾が生じます」 2月に理事選が行われるが、これはあくまでも理事候補選挙で、その結果選ばれた10人の理事候補を評議員会が承認して理事として認められることになる。公益財団法人となってから、この評議員会制度が導入されたが、過去に一人も理事の不承認はなかった。 今回は、貴乃花親方解任の整合性を保つために、2月の理事選で再選されても、評議員会が承認しないという可能性はあるのか。 前出の荒井氏は、「今日の会見でも、もしそうなると話し合いなどの過程を経て真摯に粛々と決めるとも説明されていました。“認める”という余地を残していると感じました。解任の処分を貴乃花親方が受け入れたことで、その期間の長短は別にして、処分は終わったのですから、2月の理事選で当選した場合に理事として承認することに問題はないと私は考えます」という意見。おそらく、そこが落としどころなのだろう。 だが、理事選には、貴乃花親方以外にも問題がある。師匠としての管理責任を取り、理事を辞任していた伊勢ケ浜親方が立候補した場合の承認の是非だ。 「実態として横綱にまでなった力士をどれだけ師匠が管理できるのかという問題があります。横綱に関しては自己責任の部分が強く、私は辞任した伊勢ケ浜親方が再び理事選に立候補することに反対ではありません。しかし、伊勢ケ浜親方が当選した場合、評議員会が承認するかどうかは焦点になります。私は阿吽の呼吸で立候補しない可能性もあると見ています。過去に評議員会が理事を承認しなかった例もなく、その場合、補欠選挙なのか、選挙のやり直しなのか、手続きが煩雑になり混乱を招くことになると思います」というのが荒井氏の見立て。 理事候補選は2月の頭に行われる予定だが、その結果を巡ってまたひと波乱もふた波乱もありそう。横綱が起こした暴行事件の総括と、再発防止に向けての動きや論点とますます乖離していきそうである。