池坊議長発言でネット炎上。「礼を欠いた」での処分は論点がずれていないか
理事会が決議した2つの理由に「礼を欠いた」ことが付け加えられたことに協会や評議員会サイドの“本音”が見えたような気がしたが、実は、このことに協会が抱える本質的な“勘違い”や“一般社会とのズレ”が見え隠れしている。池坊議長は、貴乃花親方の「礼を欠いた」ことを問題にするよりも協会のガバナンスの欠如を問題にすべきだったのだろう。 相撲ジャーナリストの荒井太郎氏も、「池坊議長の感情的な部分が出た発言でしたね。結果的にマスコミがとびつくようなリップサービスになってしまいましたが、解任理由とした“礼を欠いたこと”が、事件の報告義務を怠ったことや、その後の協会の聴取などに非協力的で公益財団法人の理事として忠実義務違反をしたことと、同列に受け取られるような発言をしたことは問題だったと思います。協会内の実態が露わになったような失言だったように感じました」という意見を述べる。 協会の意向に沿わない“貴乃花親方嫌い”が、処分対象となるアラ探しに走っていたようにさえ思える。 そもそも元横綱の日馬富士の暴力を使った貴ノ岩への“制裁”や、その背景にある“かわいがり”や“絶対服従”の相撲界の改善されていない体質にこそ社会秩序の欠如がなかったか。 モンゴル人力士の問題や、事件の発端を作りながら、暴力行為を見過ごして止めもしなかった白鵬の処分が報酬減額で被害者サイドの貴乃花親方が、それよりも重い「降格処分」では、やはり不公平感が際立つ。 また暴力事件があったことを知りながらも、元日馬富士を九州場所に上げた協会の責任、そのトップである八角理事長の責任問題に対しての処分がないのもいかがなものか。 八角理事長は自ら3か月の報酬返上を申し出たが、それは処分ではない。元日馬富士の師匠である伊勢ケ浜親方は理事を辞任、結果的に貴乃花親方と同じ2階級降格となっているが、これも処分ではない。理事会が評議員会に決議を提案すべき案件は、貴乃花親方の理事解任だけで良かったのだろうか。 前出の相撲ジャーナリストの荒井氏も、「現場に居合わせながら暴力を止めなかった白鵬、鶴竜の横綱2人が減給で貴乃花親方が解任ではバランスを欠いたような気がします。また協会が、事件を起こしていた元横綱の日馬富士を土俵に上げ2番取らせてしまったという管理責任もあります。その責任問題は八角理事長の3か月報酬返上ということで、自らに処分を科していますが、協会の処分ではありません。確かに問題点ではあります」と、問題視している。