「ドアが開かない」「突然エンジンが止まった」あるゆる車のトラブルに即対応 JAFの“年越し”に密着【福岡発】
年末年始、帰省や初詣などで車を利用した長距離移動が増える中、心配なのが思いがけない車のトラブルだ。24時間365日、困っている人の元へ素早く駆け付け手助けするロードサービスのプロ、「JAF」の隊員に密着した。 【画像】年越しの JAF隊員
帰省直前「車のドアが開かない」
JAF福岡支部に所属する入社8年目の稲富龍馬さん。2024年の大晦日、初の勤務担当になった。 午後6時。出勤間もない稲富さんに早速、出動要請が入る。向かったのは、福岡・粕屋町の住宅街にある美容室。「車のドアが開かない」という内容だった。 30分後、現場に到着。「鍵は?」と尋ねた稲富さんに依頼者が指さした先は車の中。依頼者は仕事を終え宮崎へ帰省するため荷物を車に入れようとしたところ、鍵が開かないことに気づいたという。 稲富さんはが専用工具でドアを開ける作業を始めると僅か5分たらずで「ガチャ」とドアのロックが解除される音が響いた。「開きました!早い、嬉しい!」。もっと時間がかかると覚悟していた依頼者は、これで帰省できるとJAFの素早い対応に感心した様子だった。 「恐らく鍵の電池が少なくて、車が『鍵を閉め忘れていますよ』と判断して自動的に鍵が閉まってしまったのでしょう」と稲富さんは、ドアロックが突然かかった理由を説明。当初の予定から2時間遅れたものの依頼者は無事に宮崎へと出発することができた。
突然エンジン停止!オイル漏れ痕跡
年末年始の車のトラブルを少しでも早く解決できるよう準備を整えて出動を待つ稲富さん。続いては午後8時30分。出動要請がかかった。 向かったのは、あるマンションの駐車場。現着した稲富さんは、すぐに車のそばに液体がこぼれているのに気付く。「何でこんなに水が出てる?灯油?」と少し警戒する稲富さん。ガソリンなどの引火性が高い液体の場合、大惨事にも繋がりかねない。 依頼者は「駐車スペースへ車をバックで入れようとギアを入れたところ、突然エンジンが停止。なんとか車は停められたものの車体から液体が漏れていて水で洗い流した」と説明する。 その話を聞いた稲富さんは「ギアの入り、悪くなかったですか?」とすぐに尋ねる。すると依頼主は「バックのギアがちょっと入りにくかったのは事実」と返答。稲富さんが疑ったのは、ギアの切り替えをスムーズに行うために使われるオイル漏れだ。 ボンネットを開けて確かめると、エンジンとの境目くらいから、ぽたぽたとオイルが垂れている跡が見受けられる。パッキンが悪くなって漏れ始めたのだろうか?稲富さんが原因について考えを巡らしていると「オイルは一気に漏れるものなのか?」と不安げな依頼者。「正直こんなに一気に漏れることはない。もしかしたらどこか部品が欠けたりとか割れたりしている可能性がある」と稲富さんは慎重に対応する。 そして、「マフラーにもオイルがついている状態なので、車を動かすと引火の恐れがあります。絶対に動かさないようにしてください」と強く注意を促した。 10年以上、この車に乗り続けているという依頼者。大晦日のこの日は、洗車を終えて帰ってきたところだったという。「ここで止まって正解でした。どこか山の中でエンジンが止まっていたら、とんでもないことで正月どころじゃない」と不幸中の幸いだったと胸をなでおろす。正月休みが明け次第、修理工場へ車を持っていくと依頼者は話していた。 “除夜の鐘”は作業後の車中で ひと仕事終え、なんとか年が明ける前にJAFの拠点に戻りたいと話していた稲富さんだが、残念ながら新年を取材スタッフと共に車内で迎えることになってしまった。「車の中で年越しちゃいました。しょうがないですね、仕事なんで」と稲富さんは笑った。 事務所に戻り、会社から支給されたインスタント食品で早速、新年最初の食事をとる。このまま無事に朝を迎えられればいいと願いつつ、稲富さんは再度の出動に備えた。 2025年が明けた午前5時30分。元日早々、新しい依頼が飛び込む。稲富さんを待っていた女性に案内されるままマンションの駐車場へ向かう。そこに停まっていたのは1台の軽自動車。稲富さんはすぐに「バッテリーあがり」と判断しエンジンがかかるよう対処して新年最初の仕事を終えた。 2024年12月28日から2025年1月5日にかけて、福岡県内でJAFの依頼件数は3756件。神社の駐車場や高速道路からの問い合わせもあったという。 年を跨ぐ仕事を終えた稲富さん。「特に大きな事故もなく、結構、平和な年越しができたので良かった。帰ったら美味しいおせちをいただきます」と笑顔で勤務を終えた。 (テレビ西日本)
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