【中越地震20年】“集落離れた人も寄れる場所”高齢化進み解体へ…集落に残る道を選んだ住民は「不安もあるが悔いはない」
■今年もコメを収穫!五味さんからは“うれしい報告”が
そして、地震から20年となる今年も…芒種庵の田んぼで作ったコメは収穫の時期を迎え、あいにくの雨の中、稲刈りが行われました。 例年通り、五味さんの姿も。 【五味希さん】 「やはり村の人に会えると私たちも元気をもらえるし、塩谷の空気がすごく落ち着くなというのはある」 【関芳之さん】 「やっぱり来るとうれしい。腕前は大したことないけどさ」 この日、五味さんから集落の人にうれしい報告もありました。 【五味希さん】 「結月という。今は4カ月。初めての長旅」 芒種庵の活動を通し、集落の住民から娘のようにかわいがられてきた五味さん。住民にとっては孫とも言える新たな命です。 【関芳之さん】 「声をかけるとニコッとする。(集落に赤ちゃんは)いない。もう20年もいない」
■中越地震から20年…芒種庵を解体へ
約20年にわたり歴史を刻んできた芒種庵。しかし、そこに集まる人の数は年々減っているのが実情です。こうした中… 【芒種庵を管理する会 星野賢治 会長】 「今年が最後の稲刈りになるかもしれないが、ありがとうございました」 住民などでつくる芒種庵を管理する会は、地震の発生から20年を迎える中、芒種庵を解体することを決めたのです。 【芒種庵を管理する会 星野賢治 会長】 「壊すというのはちょっと名残惜しいが、いずれは壊さなきゃいけない。自分たちが元気なうちに。いずれみんな動けなくなる」 集落の高齢化が進み、施設の運営や維持が難しくなっていることが理由です。 「またね、じゃあね~、大きくなってこい」 再び集まることを約束し、集落の大切なイベントは幕を下ろしました。
■“20年前の決断”振り返り…「不安もあるが悔いはない」
【関芳之さん】 「この写真もみんな片付けなきゃだな」 20年前、区長として集落の今後について話し合いを主導した関さん。 【関芳之さん】 「会議は毎日のようにやっていた。みんな迷った」 ふるさとに戻るのか、離れるのか、まとまって行動するほかの地域の状況も耳に入ってきましたが、最終的に意見を一つにまとめることはせず、自らは集落に残る道を選びました。 今、当時の選択を振り返り思うことは… 【関芳之さん】 「みんなバラバラになれば、なかなか…。まぁ、これは自然の成り行き。これからのことを考えると不安もある。でも、みんな真剣に生きていることだけは確か。悔いはない」 月日が過ぎ地域を取り巻く環境が変わる中でも、それぞれ悩み抜き、選んだ道を住民は歩んでいます。
NST新潟総合テレビ