年初からヤマ場迎える日銀正常化路線、鍵握る米新政権・春闘・円安
政治情勢が影響も
一方、少数与党の下で難しい政権運営が続く国内政治情勢も、日銀の政策判断に少なからず影響を与える可能性がある。法案採決でキャスチングボートを握る国民民主党は、日銀の早期利上げに慎重な見解を示している。25年夏の参院選をにらんで政局が流動化すれば、日銀が動きづらくなる局面も想定される。
25年は3月に安達誠司、6月に中村豊明の両審議委員が任期満了となる。後任人事は衆参両院の同意が必要だ。政府が指名する新たな審議委員の人選も注目となる。
同6月には、7月会合で利上げと同時に決めた長期国債買い入れの減額計画についての中間評価が行われる。現行の計画では、会合時に6兆円程度だった月間購入額を四半期ごとに4000億円ずつ減額し、26年1-3月に3兆円程度まで圧縮する。これまで市場の混乱はなく、減額は円滑に進められている。
中間評価では現在の計画を維持することが基本となるが、市場機能などを点検した上で、必要であれば計画が修正される可能性がある。現計画でも500兆円を大きく上回る日銀の国債保有残高は7-8%の減少にとどまる。保有する上場投資信託(ETF)の取り扱いを含め、日銀のバランスシートの正常化に関する議論が再び高まる可能性がある。
--取材協力:氏兼敬子、関根裕之.
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Sumio Ito