弁当の「上げ底」問題が物議…セブンの生みの親・鈴木敏文氏「僕はまったく関係ない」!商売の神様が「漏らした本音」
外資からの買収提案
今年はセブンイレブン1号店が江東区豊洲にオープンして50年。おりしも節目の年だが、親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)をめぐっては喧しい。 今年8月、セブン&アイHDは、カナダに本社を構え、北米などでコンビニを経営する「アリマンタシォン・クシュタール」(ACT)から買収提案を受けた。セブン&アイHDは以前から「物言う株主」であるサード・ポイントやバリューアクトからコンビニ以外の事業売却を提案されていた。 セブン&アイHDは「企業価値を過小評価している」と一度は拒否したが、ACT社は提示額を約7兆円に引き上げ、新たな買収提案したといわれている。セブン&アイHDの時価総額は約6兆円であり、株主の利益を考えると、買収拒否が難しくなりかねない状況だ。 こうした状況を受け、セブン&アイHDは経営資源を主力であるコンビニ事業に集中し、祖業であるイトーヨーカドーなど不振の事業を分離するとともに、社名も来年5月に「セブン-イレブン・コーポレーション(仮)」へ変更すると発表した。 外資同業からの買収提案への対抗としてグループ再編で企業価値向上を図った形だが、生命線であるコンビニ事業が苦戦しているのは先に記した通りだ。 商品への不満、外資による買収提案……苦境に立つセブンイレブンについて、カリスマ経営者として名をはせた鈴木氏は何を思うか。
セブンイレブン生みの親
10月19日昼前。自宅のインターホン越しに「取材のご相談をしたい」と述べると、鈴木氏本人が玄関から現れた。91歳だが、ポロシャツにスラックス、セーターを羽織った姿は、かくしゃくとしている。 鈴木氏は東京出版販売(現トーハン)を経て、30歳のときにイトーヨーカドーに転職。「大型スーパーに顧客が集まる日本ではコンビニは根付かない」との社内の反対を押し切り、米国でセブンイレブンを展開していた米サウスランド社とライセンス契約を結び、日本流のコンビニモデルを確立。その手法はコンビニ発祥の地である米国に逆輸入され、本家・米国のセブンイレブンを傘下に収めた。 鈴木氏の経営手腕はイトーヨーカドーの創業者である伊藤雅俊氏に評価され、辣腕をふるい続けたが、2016年に社内政争に敗れ、経営の第一線から退いた。現在はセブン&アイHDの名誉顧問という肩書だが、出社もしているという。 「カナダの企業である」と話しかけた途端、鈴木氏は事情を察して「あぁ、それはね。僕はいま、まったく(経営に)関知していない。(買収について)私が答える立場でもないし、話すこともない」という姿勢を明確にした。 鈴木氏といえば、率直な物言いで知られ、その舌鋒の鋭さは「鈴木節」と言われてきたが、買収問題については口が重い。 セブンイレブンの商品やサービスへの風当たりが強まっていることについて聞くと、「マスコミは適当に書いていることもあるので」と言いつつも、「僕は(経営に)関知していない。答えるのが嫌というわけではなく、答えることがない」と繰り返し、門扉を閉めて、玄関の中に去って行った――。 そんな鈴木氏には、会長時代から続けている週末のルーティンがある。自宅の近くにあるセブンイレブン。近隣住民から「店内がいつも明るく清潔。店員さんも親切」と評判の店舗を鈴木氏は定期的に訪れ、店内に目を光らせるという。 そこで目撃されていた、鈴木氏の言動とは。 【つづきを読む】『コンビニの父が皮肉にも「セルフレジに四苦八苦」…セブン生みの親、鈴木敏文氏のルーティンから見えた「古巣への変わらぬ愛情」』
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