初登板で防御率72.00…2軍敗戦処理でボコボコ 120キロ台の直球は「恥ずかしかった」
2軍デビュー戦は1イニング8失点…自身の球速に「あれ、あれって感じ」
その時も左肩は痛くて「いつ投げられるか自分でもわからなかった」という。「だけど、じゃあ明日から投げますって言っちゃったんです。これでぶっ壊れたら野球人生終わりだなって思いながら1週間投げました。3日目までは死ぬような痛さだったけど、投げないとどうにもならないと思って投げました。そしたら4日目くらいに痛みが取れてきたんですよ。最初は麻痺しているのかなって思ったんですけど、それからはずっと投げられたんです」。 どうしてそうなったのか。いまだに解明できていないそうだが、ウエスタン・リーグ中日戦での2軍デビューは無残だったという。「0-7の9回に敗戦処理で投げて8点取られました。0-15で負けです。その次の日がちょうどシーズンの折り返し地点だったので2軍の防御率発表デー。いきなり72.00の最下位ですよ。先輩にバカにされました。『72.00って73点取らないと勝てないんだぞ』ってね。まぁ最後は11点台までは下げたんですけどね」。 2軍で滅多打ちされてショックでもあった。「こんなに打たれるのって思いました。カーブもちょっとタイミングは狂わせるんだけど、それでも全部運ばれるんですよねぇ、バットが間に合うというか、残っているというか……」。さらに衝撃を受けたのは自身のストレートの球速だったという。「投げて振り返ったら(スピードガン表示が)126とか7とか8とかで、あれ、あれって感じでした」。そこまで遅いとは思っていなかったそうだ。 「遅いのはわかっていましたけど、高校時代は真っ直ぐでも三振は取れていたし、130キロ台は出ていると思っていた。そしたらずーっと120キロ台だったのでね。これはもうショックというより、プロとして恥ずかしかったです。どうやったらスピードガンで出るんだろうと思って、シュッと無茶苦茶速く腕を振ったりもしたけど変わらなかった。そこと闘った時期もありましたよ」。 その先の努力で、遅いストレートをカーブ、フォークとの緩急や投球フォームの工夫で速く見せるのが星野氏の持ち味のひとつにもなっていくのだが、プロ入り当初はあまりにも残酷な現実にも感じられていたのだろう。「(1軍で)勝ち出すと遅いのも気にならなくなりましたけどね」。120キロ台のストレートは星野氏の特徴だったが、そんな時代もあったのだ。
山口真司 / Shinji Yamaguchi