〝向いていない主将〟岡本和真「前の優勝とはまったく違う感情」 2年目は全試合4番で出場 新生阿部巨人の強みは「日替わりヒーロー」
キャプテンとして―と書きましたが、任せていただいて2年目になってもいまだに向いてないなと思うし、早く(門脇)誠がやればいいと思っています。自分なりのキャプテン像とかリーダー像ってないんです。プロ野球って個人競技で、チームは個人事業主の集まり。それでもチームなんで、助け合いながらやりたい。サポートが必要な人がいれば気付いた人が寄り添ってあげればいいし、気付いた人がモノを言える環境がいいと考えています。もちろん、僕も気付けば言いますし、手助けしますよ。でも、キャプテンだからっていうことでもないんですよね。
個人的にシーズンを振り返ると、苦しかったのは6月。二塁打とかは出てもホームランがなかなか打てなくて、きっかけになる打席もなかなかなくて。試合に出る以上は考えてやっていましたけど、しっくりくる、これだっていうのがなくて、気持ち的にも苦しいものがありました。
不振脱出のきっかけは8・9中日戦
脱出するきっかけになったのは、8月9日の中日戦(バンテリンドーム)でした。ヒットを2本打てたんですが、「これでやれば、なんとか巻き返せるんじゃないかな」と。詳細には言えないんですが、見つけたポイントは構えの部分と、その中で意識するところ。これを続けてやってみようと思えた。バッティングって、1個はまると全部良くなるんですよ。そのはまるものを毎日探すのが大変なんです。ただ、その1つのベースがあれば、相手が誰であれ、ここを元にこうしようとかアレンジができる。
チームにとってはもっと早ければ本当は良かったんですけど、優勝争いしているときに、なんとか自分のいい状態を合わせられたとは思います。それまではカバーしてもらって、助けてもらいながらやってこれた。チームのみんなに感謝です。
この、誰かが誰かをカバーできるというのが今年のチームの強み、そして優勝できた理由だったのかもしれません。浅野(翔吾)のように試合に出始めの選手は、自分のことを考えて必死にプレーしてくれたらいい。僕ら主力が責任を取ればいいんです。目の色を変えてゲームに入っていってる子が日替わりで結果を出して、そうじゃないときは僕らがカバーできたらいい循環になりますよね。今まではチームとして、そこがなかった。誰かが打てなかったらもう勝てない、みたいなチームでは優勝ってできない。優勝するチームっていうのは、その日誰かが打てなくても、ほかの誰かがヒーローになる。そういうところが今年は、この何年間の中では多かったように思えます。 (読売巨人軍主将・内野手 岡本和真) =あすに続く