照ノ富士（中央）は相撲は取らず土俵入りのみ＝9月30日、両国国技館

全日本力士選士権が9月30日、東京・両国国技館で行われ、トーナメント決勝で大関琴桜（26）＝佐渡ケ嶽＝が新大関大の里（24）＝二所ノ関＝を寄り切りで下して初優勝を飾った。 【写真】マス席で観戦した大の里の家族ら。父・中村知幸さん、母・朋子さん、右端は妹の葵さん 糖尿病と両膝のけがで全治3週間の診断書を提出し、秋場所を全休した横綱照ノ富士（32）は取組から外れた。土俵入りのみ披露したが、四股を踏む場面にこれまでのような迫力は感じられず。支度部屋では自ら両手で×印をつくり、取材には応じなかった。 ここ2年の12場所で全休6度を含む休場9度。皆勤した場所は全て優勝しているものの、一人横綱への風当たりは強くなっている。進退について23日の横綱審議委員会定例会合では、山内昌之委員長（東大名誉教授）が「親方と力士の関係で解決する。私たちは立ち入ることができない難しい領域」と従来のスタンスを崩さず。「巡業には参加し稽古を積んでいくという、できるだけ早い復帰への意気込み、責任感を示している。そこを見守っていきたい」と擁護したが、11月10日に初日を迎える九州場所（福岡国際センター）に間に合うかは不透明だ。 10月1日からは秋巡業がスタート。東京武道館を皮切りに北陸、東海、関西、中四国など27日間で全国25カ所を回るが、まずは帯同中の横綱土俵入りにどこまで力強さが戻ってくるか。　（塚沢健太郎）