まもなくドラフト会議!知名度は低いが、プロ入りすれば大化け? 各球団が密かに狙う“4人の有望株”
プロ野球のドラフト会議まであと1ヵ月を切った。プロ志望届を提出した選手が連日発表されているほか、公式戦を残している大学生と社会人は“最後のアピール”が続いている。今回は、あまりメディアの報道は多くないものの、各球団が密かに狙っている有望選手を特集する。【西尾典文/野球ライター】 【写真を見る】顔を覚えておきたい4人 来年の今頃はプロで活躍しているかも ***
「高校生の左腕では、間違いなくトップクラス」
はじめに高校生のドラフト候補から。筆頭は、北照の左腕、高橋幸佑だ。チームでは同学年で1年春から登板している田中太晟がいたため、背番号は二桁だった。しかし、ポテンシャルの高さが評価されて、今年4月にU18侍ジャパン候補合宿に招集された。この時行われた紅白戦で自己最速を更新する146キロを出して、スカウト陣を驚かせた。 今夏は南北海道大会の準決勝で敗れて、甲子園の土は踏めなかったが、150キロに迫るストレートの勢いは、高校生で屈指とされる。 「高校生の本格派左腕は、コントロールが荒れていることが多いですけど、高橋はバランス良く速いボールを投げられるところがいいですね。夏の大会はしっかり狙ったところに投げられていましたし、春よりもスピードが確実に上がっていました。高校生の左腕では、間違いなくトップクラスの評価になると思います」(パ・リーグ球団スカウト) 今年の高校生左腕をみると、夏の甲子園で活躍した東海大相模・藤田琉生がドラフト1位候補に挙げられている。それ以外に上位候補と呼べる選手は不在だ。また、大学生左腕は、関西大・金丸夢斗が完全に頭一つ抜けており、2番手以降の候補は少し寂しい印象を受けている。このため、高橋に対するスカウト陣の評価が最終的に上がることも十分考えられるだろう。
「神奈川大学野球」の“隠れた即戦力候補”
大学生候補に目を転じると、甲南大の大型右腕、岡本駿と神奈川大のショート、庄子雄大が面白い存在だ。 岡本は、徳島県立城南で内野手だったが、大学進学後、投手へ転向した。今年春のリーグ戦(阪神大学野球)の開幕戦、関西国際大戦で完封勝利を飾るも、その後に腰を痛めて、残りのリーグ戦は、わずか2イニングの登板に終わった。 秋のリーグ戦で復帰すると、コンスタントに140キロ台後半のスピードをマークするなど、復調している。身長185cm、体重82kgと細身で、一軍の戦力になるには、少し時間がかなりそうだが、フォームに悪い癖がなく、楽に腕を振って速いボールを投げられる。スケールの大きさは、大学生投手のなかで上位クラス。下位指名で岡本を狙う球団が出てきそうだ。 一方の庄子は、名門・横浜出身で、2年春、甲子園に出場している。しかしながら、同級生の度会隆輝(現・DeNA)や津田啓史(現・中日)に比べると、地味な存在だった。 神奈川大進学後は1年からレギュラーに定着してヒットを量産する。9月23日の横浜商大戦で、神奈川大学野球のリーグ記録に並ぶ通算109安打に到達した。高いミート力に加えて、スピードも目立つ。セ・リーグ球団のスカウトは、庄子について、以下のように評価している。 「足の速さはもちろんですが、盗塁の思い切りの良さや走塁の判断が素晴らしい。相手バッテリーにかなりマークされているなかでも、簡単に盗塁を決められますし、失敗もほとんどありません。そのスピードが守備にも生かされていて、肩の強さもあります。“一芸”という言葉がありますけど、庄子に関しては、走塁と守備の“二芸”は少なくともプロで通用するレベルにある。ショート以外も守れますし、こういう選手はいてくれるとベンチにとってありがたいと思います」(セ・リーグ球団スカウト) 神奈川大学野球は、東京六大学や東都大学の主要リーグと比べて注目度が低いうえ、庄子は大学進学後、全国大会の出場がなく、どうしても彼に関する報道が少なくなっている。実績は申し分ないだけに、“隠れた即戦力候補”となりそうだ。