大阪商工会議所が円安影響調査。企業の半数以上「円安はマイナス懸念」
円安局面に注目が集まる中、輸出拡大などの円安メリットを享受するよりも、円安によるマイナスの影響を懸念する企業が半数以上にのぼることが、大阪商工会議所の円安進行の影響に関する緊急調査で分かった。長らく超円高で苦しんだ企業が、今度は売り上げこそ確保できるものの、急激な円安進行でせっかくの利益を失いかねない事態に直面しているようだ。 加速する円安、今後どうなるのか?
「円安はプラス」と答えた企業は1割以下
調査は9月の中下旬にかけて、製造業の会員企業1542社を対象に実施し、有効回答数は242社だった。 1ドル=110円程度の為替水準が続いた場合の経営への影響を聞いたところ、「マイナス面の影響が大きい」と答えた企業が54・5%と、半数を上回った。一方、「プラス面の影響が大きい」は1割以下の7・4%にとどまり、「為替による経営への影響はほとんどない」と回答する企業が2割強(23・1%)あった。 もっとも望ましい当面の為替水準(1ドル=円)に関しては、「95円~100円未満」が望ましいとの回答が29・8%ともっとも多く、次いで「100円~105円未満」の27・3%だった。つまり5割以上の企業が100円をはさむ95円~105円未満の水準を望んでおり、現在の110円程度の水準は、企業にとってはやや円安に揺れすぎと受け止められているようだ。 1ドル=110円程度の為替水準が続いた場合の経常利益への影響を聞くと、「減益」要因になるとの回答が57・0%に上り、「増益」は1割強(13・2%)にすぎなかった。「利益にほとんど影響を及ぼさない」の回答も、3割弱(28・5%)あった。
調達コストの上昇分を納入価格に転嫁できず
超円高による国際競争力の低下で、苦戦を強いられていた日本のものづくり業界にとって、円安転換は待望されていたはずだが、急激な円安進行は企業経営にとって必ずしも利点ばかりではないようだ。調査に伴い、企業からさまざまな声が届いた。「輸出比率が高い当社では、円安に伴い輸出採算が好転したことで、輸出が好調だ」(医療設備機器メーカー) 円安メリットの追い風を最大限に生かし、技術力で輸出拡大を推進する貿易立国理論通りの展開だが、現時点では少数派で、大きな波及効果を作り出すまでには至っていない。そうした背景には次のような企業の防衛策の徹底がある。「過去の超円高局面をくぐり抜ける過程で、為替変動に左右されにくい海外での地産地消態勢の確立に努めてきた。そのため、円安が進んだからといって、国内工場の増産により輸出を拡大する環境は醸成されていない」(大手メーカー) 従来なら円安になれば輸出攻勢に打って出るはずの企業が、為替政策の転換や海外生産の強化などで、予想外に減ってしまったとみられる。結果的に次のような円安進行にとまどう声が、もっとも多く寄せられた。 「海外から多くの部材を調達しているが、円安に伴って調達コストが高まった。半面、国内取引先への納入価格にコスト上昇分を転嫁しにくいため、当社が利益を圧縮して対応せざるを得ない」(電子部品メーカー)