「建設残土で食卓を豊かに」斬新アイデア、京都の企業がグランプリ 中小企業の「アトツギ甲子園」決勝大会
◆ファイナリストたちは、補助金などで優遇措置も
中小企業庁長官賞は、「廃棄物を活用した環境配慮型社会の実現」を提案した大阪府の甲子化学工業株式会社の南原徹也氏が受賞しました。 捨てられている貝殻とプラスティックの合成によって開発された新素材(SHELLTEC)による製品開発を推進するというものです。 ほかに優秀賞に選ばれたのは、 ・株式会社「MARBLANC」(大阪市)の佐藤辰也氏 テーマ「後世と世界に誇る 新たなお肉体験を提供する和牛D2C」 ・有限会社森清掃社(香川県琴平町)の山添勢氏 テーマ「新開発センサーで守り抜く未来の水循環 日本の浄水技術を世界へ」 ・株式会社半澤鶏卵(山形県天童市)の半澤清哉氏 テーマ「農畜産業界に未来を!世界に羽ばたく日本一のブランド卵革命」 でした。 ファイナリストらは、発表した新規事業アイデアの事業化に向けて販路開拓などに取り組む際に、上限200万円・補助率3分の2を補助する持続化補助金(後継者支援枠)への申請が可能になるほか、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの審査における優遇措置が予定されています。
◆「単なる金儲けと違い、嘘くさくない」
今回の審査員は、入山氏のほか、今野譲/グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社代表パートナー、佐々木紀彦/PIVOT株式会社代表取締役、坊垣佳奈/株式会社マクアケ共同創業者取締役、山井太/株式会社スノーピーク代表取締役会長兼社長執行役員の計5人でした。 審査員らは大会全体を通し、「循環型社会を見据え、コストではなくバリュー(価値)を重視する傾向が強まっている」「地方発スタートアップの勝ち筋はアトツギビジネスではないか」「アトツギの背景には確固たるヒストリーがあって、単なる金儲けが多い起業家と違って嘘くさくない」などと評価しています。 いま、全国では、後継者難のために黒字でありながら廃業する中小企業が増加しています。こうした「もったいない」廃業を食い止め、さらなる成長に導くのが「アトツギ甲子園」の狙いです。来年度も、第5回が開催される予定です。
(取材・文/ジャーナリスト 三浦 彰)