起業家・成田修造「教育で重視すべきは"越境力"」 何かを生み出せる人を増やす起業家教育が必要
「プログラミング的思考×お金×越境力」が大切
――18歳のときに、これからは「IT×ファイナンス×起業家精神」が重要になると、兄である成田悠輔さんからアドバイスがあったそうですね。今の時代、この3つは何歳頃から意識するとよいと思いますか。 10歳で理解できる子は早熟だと思いますが、親は少しずつこうした条件を意識して働きかけることができるといいですね。わかりやすい言葉で置き換えるなら、「プログラミング的思考×お金×起業家精神」でしょうか。 プログラミングはもう必要なスキルではないと思いますが、プログラミング的思考という基礎は大事。曖昧なものを適切に言語化して実装していく論理的思考力を身に付けるにはプログラミングは有効ですし、コンピュータの本質的な理解は重要です。 だから、受験勉強の時間があるなら、プログラミング的思考を身に付けたり、生成AIに触れたりする機会を持つほうがいい。そういうことを教えられる家庭教師や機会を探したほうが、オリジナリティのある子どもになっていく気がします。 お金については、12歳くらいから親と一緒に株式やREIT(不動産投資信託)など、少額投資を始めてみると面白いと思うんですよね。 起業家精神については、周囲に起業家がいるかどうかがポイント。例えば、彼らが集まるようなコミュニティーを子ども自身に探させるのも1つの手かもしれません。今はどこにいても、オンラインで人にアクセスすることが可能ですから。 ――会社をつくるかどうかは別にして、やはり「起業家精神」は大事でしょうか。 それを意識して行動できるかどうかで、人生は大きく変わると思います。日本の初等教育はすばらしいのですが、高等教育以降では、秀でたものをつくるとか、今ない価値を考えるといったマインドが潰されてしまいがちです。起業家精神を抑えつけるような教育カリキュラムや学校の風土がありますよね。 起業家精神は、「越境力」や「飛び出す力」と言ってもいい。分野横断的に越境する人があらゆる領域で必要になっていますが、今の日本で飛び出すことは非常にハードルが高くなっています。 だから、基礎教育をベースに、自分の興味や関心に基づいてどんどん飛び出しながら、その中で学びたいものを学んでいくという教育になっていくべきなのは間違いないと思うのです。しかし今のカリキュラムでは、そうした越境力を重視する教育への転換は難しく、全員にプログラミング教育や金融教育などを足し算していくような状態になってしまっています。