「さようならと言うことすら許されなかった」 “アラン・ドロンと事実婚”ヒロミさんが明かす失意の日々
アランからの贈り物を身に着けて……
やむなく彼女は、パリ郊外の自宅で一人、愛する人の死を悼むことに。 「23年の7月5日以来初めて、部屋にアランと私が写った写真を飾りました。また、黒のスーツを着て、4年前にアランが私の誕生日に贈ってくれた、真珠のネックレスを身に着けました」 ネックレスはドロンがかつて日本を訪れた際、自身の母に購入したものだった。 「アランはこれをプレゼントしてくれた時、愛にあふれたメッセージカードを添えてくれた。いまもドゥシーには返却してもらえない私物が数多く残っています。ネックレスとカードもその一つでしたが、4月にアヌーシュカがネックレスだけを返してくれたのです」
「今もアランに会いたくてたまらない」
しばらくすると、不思議なことが起きたという。 「午後2時前、ネックレスが外れて床に落ちたんです。私は思わず、拾い上げたネックレスに“アラン、いるの? お葬式の前に会いに来てくれたの?”と話しかけていました」 悲しい出来事は続き、11月にはドロンと二人でかわいがっていた犬が旅立った。 「いまの私はブラックホールにでも吸い込まれたような感覚で、過去も現在も未来もありません。アランと引き裂かれてから1年半がたちますが、いつも二人で寄り添っていたからか、いまだに一人きりの生活には慣れません。寂しくて、寂しくて、いまもアランに会いたくてたまらない」 わずか3カ月の間に“夫”と愛犬を失ったが、 「アランと暮らした17年間、彼は幸せでした。それがせめてもの救いです」 そんなヒロミさんは、いまも最愛の人に一輪の花すら手向けられずにいる。
「週刊新潮」2025年1月2・9日号 掲載
新潮社