尹大統領「政府が介入してもひし形社会に」…「大きな政府」に転換か
執権後半期を迎えた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が11日、二極化打開の目標とともに政府の介入に言及した。複数の分野の不均衡を正すために政府が深く介入するということであり「大きな政府」に国政基調が変わるのかが注目されている。 中央日報の取材を総合すると、尹大統領はこの日の首席秘書官会議と韓悳洙(ハン・ドクス)首相との週次会議などで「任期の前半期には軌道を離脱した大韓民国号を民間主導の市場経済体制に正常化することに集中した」とし「任期の後半期には政府が直接介入しても所得・教育の不均衡など二極化を打開するための前向な努力をしなければいけない」と述べた。 続いて「中間階層が厚い『ひし形社会』に進まなければいけない。来年の部処業務報告でも二極化打開のための政策を積極的に提案してほしい」と強調した。尹大統領は二極化解消の重要性を強調しながらトランプ次期大統領の圧勝事例にも言及した。尹大統領は「二極化の不満が表出した米大統領選挙からも教訓を得るべき」という趣旨の話をしたという。尹大統領は10日に任期折り返し点を通過して後半期に入った。 就任以降、健全な財政と民間主導成長を強調し、いわゆる「小さな政府」を追求してきた尹大統領が、二極化解消対策として政府の介入に言及したのは異例だ。政府の運営基調を根本的に変えるという意味でもあるからだ。大統領室の関係者は電話で「現金支援はないとしても、可能な範囲内で政府の介入を増やし、国民の生活をきめ細かく支えていくというのが尹大統領の考え」と伝えた。 大統領室の関係者もこの日午後のブリーフィングで二極化解消対策に関連し「前半期には輸出・投資・雇用などマクロ経済体力の基盤を固めただけに、後半期には国民が体感できる政策をきめ細かく進めていくということ」と説明した。続いて「対策としては物価の管理や自営業者に対する支援などが考えられる。財政問題まで含めて二極化を解消する政策を多角的かつ総合的に検討中」と話した。 大統領室は二極化解消1号対策として来月初めの自営業総合支援策発表を検討している。尹大統領が政府の介入に言及しただけに、これまで難色を示してきた補正予算をはじめとする積極的な財政政策が動員される可能性もある。 この日の会議で尹大統領が自ら話したわけではないが、大統領室は人的刷新も強調した。大統領室の関係者はブリーフィングで「すでに人材集団(pool)の物色と検証に入った。刷新を急ぐ」と伝えた。ただ、「当分は米国の新政権発足への対応など外交の時間であり、国会予算案が通過してこそ民生がうまく進む」とし「来年予算案の通過時点までは柔軟に待ってほしい」と話した。大統領室の関係者は人的刷新に首相交代も含まれるかについて「ひとまず人材プールが集まらなければいけない」と慎重な態度を見せた。 飲酒運転で物議を醸したカン・ギフン行政官の去就に関しては「大きな枠組みで人的刷新が行われているのでその過程で整理されるのではないか」と話した。カン行政官は先月、韓東勲(ハン・ドンフン)国民の力代表が尹大統領との会談で交代を要求した、いわゆる「漢南洞(ハンナムドン)8人組」の一人だ。 尹大統領はこの日、政府・与党関係に関連し「政府と与党がともに心機一転して力を合わせ、国民の側に再び走ろう」とし「国民の意に応じるために年金・医療・労働・教育に少子化対策まで4+1改革にも渾身の力を注ぐ」と強調した。野党の参加なく出発した与・野・医・政協議体についても「ひとまず第一歩を踏み出し、対話がうまくいくことを望む。野党と残りの医療界も早期に参加するのを希望する」と述べた。 与党では、尹大統領が金建希(キム・ゴンヒ)夫人の活動暫定中断をはじめ、政府の運営基調変化や内閣改造など全方向的な刷新カードを取り出したことに対し、10%台まで落ちた支持率の余波という反応が出ている。尹大統領は先週の記者会見の後、世論の反応が良くない中、参謀に「国民の期待に応じる刷新に総力を尽くす必要がある」という趣旨の立場を伝えたという。大統領室の関係者もこの日、記者らに対し「民心にもっと耳を傾けて奮発し、迅速に刷新する姿を見せる」と話した。