妖怪の正体とは? 幽霊との違いは? 「歴史や地域性で解釈が変化するおもしろい存在」と研究者
ミステリアスでどこか愛嬌がある「妖怪」。マンガやアニメ、ゲームなどでその存在はすっかりおなじみのものとなりましたが、そもそも妖怪とは何なのか……ラジオ番組『Clip』(ラジオ関西)内、神戸電子専門学校の学生が独自レポートを発表するコーナー「走れ! Clip特派員!」で疑問解決を目指して調査。怪異・妖怪文化について研究をしている京都先端科学大学の木場貴俊准教授に詳しく聞きました。 【写真】妖怪と幽霊の違い ☆☆☆☆ 広辞苑第七版によると妖怪とは「人知では解明できない奇怪な現象または異様な物体。ばけもの」と記されています。古来より不可思議な現象を起こす原因とされたり、またはそうした生物がいるものとして数々の物語に登場してきたようですが、分からないことが多いのも事実。 木場貴俊准教授によると「妖怪の定義はさまざまです。妖怪という言葉に使われている“妖”と“怪”はいずれも『あやしい』という漢字。何に対してあやしいと言っているのかは、時代や地域によって異なるのです」とのこと。例えば『古事記』『日本書紀』の中に登場するヤマタノオロチは“神”と記される一方、別の視点では“巨大な蛇の妖怪”と表現されています。 ほかにも、河童(かっぱ)は川や池に住み泳ぐ人の足をつかんで水中に引きずり込み溺れさせる恐ろしい妖怪とされていますが、可愛らしいキャラクターとして愛されている場合も。疫病を鎮めるとされる妖怪・アマビエはコロナ禍で大流行。グッズが作られたりスマホの待受画面に設定する人もいました。 妖怪が現実に存在するのかについては「存在しない」と木場准教授はきっぱりと言い切っています。これについて、「実在しないものを今まで人間は創作してきたわけで。アニメや漫画では見ていますが、実際に見ることはできないのが妖怪です」と説明。 では、妖怪と幽霊に違いはあるのでしょうか。“日本民俗学の父”と呼ばれた柳田國男氏は「宵や暁の薄明るい時間(逢魔が時)、いわゆる昼と夜の移り変わる夕刻時に特定の場所に現れるのが妖怪」、「真夜中(丑三つ時)に特定の相手のいるところに現れるのが幽霊」と分けたそうです。とはいえ、これは柳田氏が自身の研究で便宜的に分けたにすぎないそう。ざっくり言うと「幽霊=死んだ人の霊」で「妖怪=奇怪現象や非日常的な存在」を指しているのだとか。 ☆☆☆☆ 「妖怪は歴史や地域性を色濃く反映するため、研究しがいがあります。興味を持ったら調べてみてほしい」と木場先生は言います。人間が生きる上で不思議・不可解なことが起こった際に「妖怪」という枠に当てはめてみたり妖怪の存在を信じて生活態度を改めてみるなど、“考え方”ひとつで身近なものになり得るかもしれません。 ※ラジオ関西『Clip月曜日』2023年6月10日放送回より
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