F1ドライバーが活躍するためにはなくてはならない存在……マネージャーの仕事とは?【2024年版全F1ドライバーマネージャーリスト】
各ドライバーのマネージャーは誰なのか?
■マックス・フェルスタッペン:レイモンド・フェルミューレン(マネージャー) 2015年にトロロッソからF1デビューした当時、フェルスタッペンはわずか17歳だった。フェルミューレンは以前、フェルスタッペンの父であるヨスのマネジメントを務めていたこともある。そのため、フェルミューレンが息子マックスも担当するのは、当然のことだった。フェルミューレンは日々の業務でフェルスタッペンのビジネスを運営する責任を負っており、メモ帳に書かれた「やることリスト」に取り組んでいる。そして全ての決定はヨス・フェルスタッペン夫妻に提示され、最終決定権はマックスが握っている。 ■セルジオ・ペレス:ジュリアン・ヤコビ(エージェント)、ルイス・アルベルト・アギーレ(マネージャー) ペレスはふたつのアプローチをとっている。ヤコビは経験豊富な人物で、かつてアイルトン・セナやアラン・プロスト、ミハエル・シューマッハー、ジャッキー・スチュワート、デビッド・クルサードなど、大物たちのキャリアを支えてきた。一方元スポーツジャーナリストのアギーレは、日々ペレスのマネージャーを務め、ペレスに同行している。 ■ルイス・ハミルトン:マーク・ハインズ(マネージャー) ハインズはハミルトンのプロジェクト44で働いており、日常のマネージャーを務めてる。ハミルトンには、レース以外のPRを担当する小さなチームと、契約をマネジメントする弁護士もいる。 ■ジョージ・ラッセル:ハリー・ソーデン(マネジメント) ラッセルは、メルセデスの育成出身であり、今もメルセデスの傘下にいる数少ない存在だ。しかし契約交渉は、インフィニティ・スポーツ・マネジメントのディレクターであり、ラッセルと10年以上共に仕事をしてきたソーデンが担当している。 ■オスカー・ピアストリ:ジャム・マネジメント(マネジメントチーム) ジャム・マネジメントは、ピアストリのキャリアを支えるジェイソン・アレン、アン&マーク・ウェーバーの3人組を表している。かつてレッドブルなどで活躍した元F1ドライバーであるウェーバーとその妻であるアンは、長年F1で働いており、アレンは組織を構築し、成長させるという点で20年以上の経験がある。 ■ランド・ノリス:ADDマネジメント(マネジメントチーム) ノリスはカートやF1を通じて、マーク・ベリーマンやフレイザー・シェイダーと何年も一緒に仕事をしてきた。ふたりとも、マネージャーになる前にはカートのドライバーだったことがある。ベリーマンはノリスの近くにいるべく、ほとんどのレースに帯同。マクラーレンとドライバーの間の仲介役も務めている。 ■シャルル・ルクレール:オールロード・マネジメント(マネジメントチーム) ルクレールのマネジメントチームは、基本的にはニコラス・トッドひとりで構成されている。元フェラーリF1チームの代表であり、その後FIAの会長も務めたジャン・トッドの息子がこのニコラスだ。ニコラスはこの他、ダニール・クビアトやフェリペ・マッサ、パストール・マルドナドのマネジメントも務めている。 ■カルロス・サインツJr.:カルロス・オノロ・サインツ(マネージャー) サインツJr.はF1に関するサポート役を身近なところに置いておきたいと考えており、従兄弟をマネージャーとして起用している。そして父カルロス・サインツを相談役として頼っている。まさに”サインツ家”一丸となった仕事だ。 ■フェルナンド・アロンソ:フラビオ・ブリアトーレ(マネージャー) アロンソは親しい友人であるアルベルト・レスクロサと、アルベルト・フェルナンデスとともに、自身のマネジメント会社A14マネジメントを立ち上げた。しかし自身のマネジメントに関しては、ブリアトーレに任せている。そのブリアトーレは、今季途中からアルピーヌのエクゼクティブ・アドバイザーに就任している。 ■ランス・ストロール:スティーブ・オコナー、メル・ホッペンハイム(マネジメントチーム) 父親が所有しているチームに所属している限り、エージェントの必要性はほどんどない。しかしストロールには、戦略アドバイザーとして働くチームが存在する。 ■ニコ・ヒュルケンベルグ:ラウル・スペングラー(マネージャー) ヒュルケンベルグはかつてミハエル・シューマッハーのマネージャーを務めていたウィリー・ウェーバーのサポートを受けていた。しかし両者は2011年に袂を分ち、自らマネジメントを行なうようになった。しかし2018年3月からはスペングラーがマネージャーに就任。このスペングラーは、サーファーのセバスチャン・シュトイトナーのメディアコミュニケーションを担当していた。 ■ケビン・マグヌッセン:本人 マグヌッセンは、かつてドルテ・リース・マドセンをマネージャーに起用していた。しかし決別。それ以来、自分自身でキャリアをマネジメントするようになった。今季限りでハースのシートを失うことになったマグヌッセンは、将来のシートを自分自身の力で見つけなければならないということになる。 ■ダニエル・リカルド:CAA(エージェント)、ブレイク・フレンド(マネージャー) 他のドライバーと同じように、リカルドも組織を分割している。世界的なタレントエージェンシーであるCAAが、彼の商業的な部分をマネジメントし、フレンドが個人マネージャーを務める。リカルドの商業的な事業は、全ドライバーの中でも最も規模が大きいかもしれない。 ■角田裕毅:エゴン・マネジメント、マリオ宮川&ルイス・アルバレス(マネジメントチーム) 角田をマネジメントしているのはレッドブルやホンダだと考えている人が多いだろうが、彼には交渉などを手助けしてくれるチームが存在する。 角田の個人マネジメント会社であるエゴン・マネジメントは、パーソナル・アシスタントの平松雄大が率いている。この平松は角田の中学時代からの同級生であり、今はイタリアで角田と生活を共にし、日々のサポートを行なっている人物だ。同社はトラックサイドと商業プロジェクトの両方で全体的な運営をサポート。日々の移動から財務/税務の管理、さらにはホンダ/HRCやレッドブル/VCARB、外部の請負業者やサプライヤーとの法的契約の処理などを手掛けている。 マリオ宮川はかつてはジャン・アレジや小林可夢偉などのマネジメントを担当し、サッカーチーム”ユベントス”のマネジメントにも関わったことがある人物で、COMPACT.SPAの一員。2023年から、角田のマネジメントを担当することになった。ここに今季からルイス・アルバレスが加わり、トラックサイド関連のマネジメントを強化。エゴンの契約交渉担当者と共に、マネジメントチームの構造を作り上げた。 ■バルテリ・ボッタス:ディディエ・コトン(マネージャー) ボッタスは、過去にミカ・ハッキネンやオリビエ・パニスらをマネジメントしたエース・マネジメント・グループのサポートを受けている。彼らはチーム代表や主要なスポンサーなどと、重要な関係を築いている。 ■周冠宇:グレアム・ロードン&マーク・ハインズ(マネジメントチーム) ロードンとハインズは、周のキャリアのあらゆる側面をマネジメント。周がドライブに集中できるようにしている。ふたりはイコールズ・マネジメントの一員であり、F1での長い経歴を有している。 ■ローガン・サージェント:ゲイリー・キャット(マネージャー) サージェントは、ラッセルのアドバイザーでもあるインフィニティ・スポーツ・マネジメントで働くキャットのサポートを受けている。キャットはカートで活躍した後にマネジメント会社を設立。現在に至っている。 ■アレクサンダー・アルボン:ジャック・ヘックストール-スミス(マネージャー) アルボンはグリップ・スポーツ・マネジメントに、マネジメントチームの役割を託した。ヘックストール-スミスは、アルボンがレッドブルに在籍していた時からシニア・コミュニケーション・マネージャーを務め、現在でも同じような役割を果たしている。 ■エステバン・オコン:グヴェン・ラグルー(マネージャー) オコンはメルセデスの若手ドライバープログラムを運営しているラグルーがマネジメントしている。ラグルーは若手ドライバーを発掘するという手腕にも優れている。 ■ピエール・ガスリー:ギヨーム・ル・ゴフ(マネージャー) ガスリーはグリッド・エージェンシーのル・ゴフがマネジメントを担当する。ル・ゴフはモータースポーツ界で長いキャリアを持っており、マネージャー業を始める前には、レースエンジニアを務めていたこともある。
Ben Hunt/田中 健一