20年ぶり映画主演の安達祐実「清楚イメージはありえない」
映画『花宵道中』で、20年ぶりの映画主演を務める女優の安達祐実。1994年に社会現象を巻き起こした連続ドラマ『家なき子』で天才子役の名をほしいままにし、「子役は大成しない」とのジンクスを跳ね退け、成熟した現在も順調に女優業を続けている。今年で芸能生活30周年を迎えた安達は、『花宵道中』で自身初のヌードに挑戦するなど、新たな道を見出そうとしている。そこには“子役出身”ならではの苦悩があった。 ■清純イメージはありえない 子役時代から人気と知名度の高かった安達がヌードに挑戦すれば、賛否の的となってしまう。それでも安達は「主演するにあたって『私は何にも囚われないぞ』というところを見せたかったし、賛否の否を恐れて動けなくなるよりも、賛の方に賭けて進む勇気を持ちたかった」と本作出演への決意を明かす。結婚・出産・離婚を経験したことも大きく「若いころは正しさを求められていたし、事務所も含めて清楚イメージを貫こうとした。でも年齢を重ねた今、結婚して出産して離婚するという経験がありながらも“清純イメージ”はありえない。『もういいんじゃない?』と思った」と、プライベートでの一面が子役イメージの払拭を後押しした。 ■童顔はコンプレックスだった 役者にとって代表作は勲章になる一方、強烈なパブリックイメージとして“足かせ”にもなる。安達も泣かされた一人だ。「10代後半の頃まで、周囲から『家なき子』と言われるたびに『何年前の話だよ!』と、心の中でツッコミを入れていましたね。童顔で子供っぽいと言われたルックスもコンプレックスで『どうしてこんな顔に生まれたの?』と、両親に申し訳ない考え方をしたことも。イメージや、年齢と見た目のギャップが相まって、製作側も私を使いづらかったはず」と、役者としての伸び悩みを経験した。 ■人見知りだった子役時代 つまらない奴だった そんな葛藤もあって「子役時代は今と比べ物にならないくらい人見知りだったし、つまらない奴でした。現場にいても、誰とも話さない時だってありましたから」と振り返る。感情も性格もこじらせつつある中、21歳の時に一大決心。両親の反対を押し切って、一人暮らしをスタートさせる。それまで「両親の言うことを聞くのが子供の使命だと思って生きてきた」という安達は、初めて外の空気に触れたことで「家族や事務所から守られ過ぎていて、『私、人間の事を何も知らないじゃん!』と気づかされた」と、大きなショックを受ける。 「若い頃は自分の足で歩いている感覚がなくて、衣装を決めるにしても周りに頼って意見も言わなかった。そんな停滞した感じを破っていかなければいけない、と動き始めたのが20代後半。それからは監督やプロデューサーにも意見を言えるようになったし、一つ一つの仕事に対して手応えも生まれた」と、仕事に対する向き合い方を一変させる。幼少期から芸能界入りし、大人の世界を渡り歩いてきただけに「子供の頃は『自分が成功してこそ、皆が優しくしてくれる』と思い込んでいました。その分、失敗したら一人ぼっちという感覚で……。でも本当はそうじゃなかった。離婚というネガティブなことも経験したけれど、仕事はある。演じていない“安達祐実”の存在を認めて、受け入れてくれる人が沢山いることを知った」と、それまでの価値観は大きく揺らいでいった。