【40代、50代・更年期の基礎知識】更年期以降の子宮体がん、乳がんのリスクを上げないために必要なのは「太らない」こと
女性の部位別がん罹患数の1位は乳がん。乳がんのほか、子宮体がんなど婦人科系のがんは、太って内臓脂肪がつくとリスクが上がってしまう。理由は、内臓脂肪から悪玉の女性ホルモンが出るから。産婦人科医の吉形玲美さんに解説してもらった。
Q. 婦人科系のがんが心配です。予防はどうすればいい?
A. 子宮体がん、乳がんのリスクを下げるには、内臓脂肪をつけない=「太らない」こと! 「これまで卵巣で分泌されていたエストロゲンは、閉経以降、副腎や内臓脂肪など、別の臓器から分泌されるように変化します。でも後者の女性ホルモンは、これまで黄体ホルモンとともに血管や骨を守っていた本来のエストロゲンとは違う、悪玉の女性ホルモン。 内臓脂肪がつくほどに悪玉の女性ホルモンだけが独り歩きをし、女性生殖器に刺激を与えて、子宮体がんや乳がんのリスクにつながってしまいます。ただでさえ、女性ホルモンの減少によって糖代謝の調節など、内臓脂肪を減らす作用が弱くなる年代。運動や食生活が今までと同じでは、体重や内臓脂肪の増加につながるので、見直しを。 喫煙や飲酒習慣も、乳がんのリスクを上げる要因となります。卵巣がんについては検診がないため、子宮全体や卵巣の状態、小さな異常も発見できる経腟超音波検査を受けることでフォローすることができます」(吉形先生)
●部位別がん罹患数(2019)女性 厚生労働省の調べによると、女性の部位別がん罹患数(2019年)の1位は圧倒的に「乳がん」。次いで多いのは「大腸がん」「肺がん」。婦人科系のがんでは、次に「子宮体がん」「卵巣がん」「子宮頸がん」が多いことが判明。
次回は HRT(ホルモン補充療法)の乳がんリスクについて教えてもらう。 【教えてくれたのは】 吉形玲美さん 産婦人科医、医学博士。浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最先端に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社) イラスト/平松昭子<アイキャッチ> 構成・原文/井尾淳子