セブンきょう決算、創業家MBO計画の検討状況に集まる関心
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスは9日午後、2024年9ー11月期(第3四半期)決算を発表する。カナダのコンビニ大手からの買収提案に加え、前回の決算発表後には創業家主導のMBO(経営陣が参加する買収)計画も明らかになった。決算説明の場で、会社側が提案の検討状況について言及するか関心が集まる。
決算発表では丸山好道CFО(最高財務責任者)が対応し、井阪隆一社長は出席しない予定。アリマンタシォン・クシュタールと創業家からの買収提案はいずれも、社外取締役で構成する特別委員会が検討しているが、MBO計画が明らかになった昨年11月以来公式のコメントは発されていない。
MBOを巡っては、巨額の資金調達が難航しているとの報道が昨年末にかけて相次いだ。日本経済新聞は年内にめどをつけて1月にもTOB(株式公開買い付け)に移ることが当初描かれたシナリオの一つだったと報じた。
セブン&アイ株は、クシュタールからの買収提案やMBO計画が明らかになってさらに急伸。8日終値は買収提案前より約36%高い2396.5円だった。
客足はプラスに
一方、国内コンビニ事業では回復の兆しも現れ始めた。セブン&アイの月次営業情報によると、国内既存店の客数は9月に対前年同月比プラスに転換。売り上げも10月からわずかだが前年実績を上回った。割高感が客離れを招いているとして始めた「うれしい値!」と称する低価格商品群の展開が奏功したとみられる。
ただ全体の利益押し上げ効果は薄いと見られ、ブルームバーグが集計したアナリスト9人の第3四半期の営業利益予想平均は1321億円で、前年同期を約22%下回る。
低価格戦略は客足を伸ばす一方、利益率を下げる懸念がある。SBI証券の田中俊シニアアナリストは「粗利を取るためには価値の高い商品も必要で、お得にしやすい商品の価格を下げるだけでは不十分。バランスの取り方が難しい」と指摘する。