ふるさと納税、Amazon参戦でポータルサイト勢力図が大変化 防戦の楽天市場
例えば「お買い物マラソン」というイベントでは、買い物をしたショップ数に応じてポイント倍率が上がっていく。ポイント上限などのルールはあるが、10ショップ以上で買い物をすれば、購入商品のすべてがポイント10倍となる仕組みだ。この年末も「大感謝祭」と銘打った同様のキャンペーンを展開している。 ふるさと納税の利用者の多くは、複数の自治体へ寄付を実施する。楽天ふるさと納税のキャンペーン期間にまとめて寄付すれば「お得度」が増すというわけだ。楽天Gにとって、ふるさと納税は同社のポイント経済圏の魅力を高める大きな武器となっていた。 それだけに24年6月、総務省が発表した25年10月からのポイント付与の禁止は、楽天Gにとって大きな痛手となる。楽天Gはポイント付与禁止に反対する署名を集めており、12月時点で270万筆に達したという。 ●ポイント付与以外での差別化必須 ポイント付与が禁止される来年10月以降は、ふるさと納税利用者のサイトを選ぶ基準は大きな変化が生じる可能性がある。ふるさと納税のポータルサイトは確定申告用データをまとめて提供するサービスを実施しているところが多く、利用者はできるだけ1つのサイトに集約させたいと考える人が多い。普段から様々な買い物に活用しており、さらに翌日配送などの利便性をうたうアマゾンに利用者が自然と目を向ける可能性は高い。 今回参入を発表したアマゾン、LINEヤフーの両社は、ともにポイント以外の強みを強調している。楽天Gをはじめ、既存のポータルサイトにとってもポータルサイトとして選び続けられるためには新たな魅力創出が急務だ。 アマゾンでの取り扱い自治体数や返礼品の数は、まだまだ他サイトには及ばない。目玉の1つとして挙げる翌日配送も現状では一部の返礼品に限られる。今後どの程度サービスが拡大されるかがポイントになりそうだ。
齋藤 英香