調子を上げる藤浪晋太郎にメジャー昇格はあるのか
場所はニューヨークから西へ約150キロ、ペンシルベニア州リーハイバレーという田舎町。メッツ傘下3Aシラキュースが、フィリーズ傘下3Aリーハイバレーに遠征しているタイミングで藤浪晋太郎投手(30)のもとを訪れた。
「シーズンの初めからしたら、かなりいい状態。ただ(メジャー)40人枠ではないのでパッと上がれるかといわれれば、そういうものではない。悪くないとは思いますけど、うーん、まあまあ。全体的にいいバランスで投げられている日は多いと思います」
2月14日にメッツとの契約が正式発表された。1年のメジャー契約で年俸は335万ドル(当時のレートで約5億円)。メジャー契約ではあるものの『本人の同意なしにマイナー降格できない』という条項はなかった。メジャー40人枠には入っているものの、開幕前にマイナー通告をされていた。昇格を目指す中、右肩を負傷。実戦復帰のタイミングでメジャー40人枠を外れる措置の通告(DFA)を受けた。昨季のように7月のトレード期間で優勝を争うチームに移籍する、あるいは、メッツでメジャーに呼ばれる、ということなく9月を迎えた。
「けが明けからは、割と一つのことに集中していい感じに継続できている。そういう意味でも迷いがない」
投球をできないリハビリ期間には、フォームや感覚の見直しに時間を使った。“けがの功名”が好投につながっている。
「シーズン当初は、すごく、こう…自分が思った通りにいかなかったり、ああでもない、こうでもない、とずっと迷いながら、技術的、フォーム的に迷いながら、日々を送っていました」
迷走はそのまま成績不振になり、メジャー昇格へのチャンスは時間とともに過ぎていく。それでも、向上するために新たに多くのことを試し、チャレンジする気持ちを持ち続けることも藤浪の能力。メジャー1年目の昨季“V字回復”したように、6月25日に右肩負傷から1Aや2Aなどのマイナー戦に復帰後の投球内容は、いつメジャーに呼ばれてもいい、という成績を残し、投げるボールの質は高い。