風間俊介、3年ぶり単独主演舞台『モンスター』 見どころは「唯一僕が出ていないシーン」
風間俊介が約3年ぶりに単独主演を務める舞台『モンスター』の東京公演が12月18日、東京・新国立劇場 小劇場にて開幕した。かつての華やかな職場から逃れ、自分自身に深い問題を抱える新人教師トムと、家族から十分な愛情を受けられず、社会から問題児扱いされる生徒ダリルの対峙を軸に、大人の子育てと責任、未成年の反社会的な行動といった、教育・家族関係を鋭く表現した物語だ。 【全ての写真】『モンスター』プレスコール&会見(全17枚) 東京公演の開幕を前に、トム役の風間をはじめ、14歳のダリルを演じる松岡広大、トムの妻でダリルに脅かされるジョディ役を勤める笠松はる、ダリルの祖母リタを演じる那須佐代子、演出・美術を手がける杉原邦生が取材に応じた。 大阪、水戸、福岡での公演を経て、風間は「お客様が集中して、他人事ではなく(演者と)同じ体験をしている。そんな感覚をヒシヒシと感じた」と手応えを振り返り、「これからの社会をどう捉えるかというテーマに深く切り込んでいる。ご覧になる皆さんが、改めて社会と向き合ってみようと勇気をもらえる作品」だとアピールした。 主演の意気込みを問われると、「トムひとりではなく、4人の主人公だと捉えている。異分子であるダリルと対峙する人々を、トム中心に描いているので、主演ではなく、ご覧くださる皆様代表という気持ち」だと説明し、見どころは「唯一僕が出ていないシーンがあるんですが、そこが物語の核になっている。トムもそのシーンのための礎だなと思う」と語った。 ダリル役の松岡は、「手応えですか? 個人的には一切なくて。14歳を演じるという部分も含めて、極度に緊張している」と胸中を明かし、「トライ&エラーしながら演じている最中なので、慢心してはいけないなと思っている」と背筋を伸ばす。 笠松は「会場ごとに反応も違い、作品そのものがすごくうごめいている。毎日毎日違う“モンスター”が生まれるので、最終的にどう変わっていくのか楽しみにしている」と期待を寄せ、那須は「答えやメッセージがはっきりしているというよりは、受け取る皆様が何を受け取ってくださるか。そこから何かが育っていくんだと思う。東京公演は長い期間なので、よりブラッシュアップしてお届けできれば」と抱負を語った。 演出・美術の杉原は「作品自体が“モンスター”で、手を焼く作品。常にうーんと考え込んでしまう」と作品との格闘を語り、「戯曲を読んで受け取った印象、稽古場で立ち上がったもの、客席から見ながら感じ取ることが変わってくる。(地方公演を経て)かなり熟成もされているので、さらにパワーアップした『モンスター』をお見せできる」と自信を示していた。 取材・文・撮影:内田涼 <公演情報> 舞台『モンスター』 作:ダンカン・マクミラン 翻訳:髙田曜子 演出・美術:杉原邦生 音楽:原口沙輔 出演:風間俊介 松岡広大 笠松はる 那須佐代子 【東京公演】 日程:2024年12月18日(水)~28日(土) 会場:新国立劇場 小劇場