年齢は30~40代、年収は3000~5000万円…「中国人富裕層」実像と訪日旅行の意外な楽しみ方
お気に入りは高級日本料理店や星つきのフレンチ。クラシックコンサートやオペラも
買い物メインの「モノ消費」から、滞在そのものや体験重視の「コト消費」へとシフトしている中国人富裕層たち。東京を訪れる場合も、ショッピングに時間をかける人は少ないようだ。 「高級寿司店や日本料理店の予約をよく頼まれますが、東京での食事を楽しみにしている人は多いです。今日も、八雲茶寮(一軒家の和食料理店)の朝食を予約してほしいと頼まれました。 イタリアンやフレンチも人気があります。特に日本のフレンチは、食材を生かしているので中国人の口に合うんです。皆さん、パリのフレンチより東京のフレンチのほうがおいしいと言いますね。 夕食にかけるお金は、1人2、3万円といったところでしょうか。家族連れであれば、一度の食事に10万円くらいは普通に使いますよ」 日本の文化や芸術、エンターテインメントに関心を持つ富裕層も増えているという。 「劇団四季が好きな人は多いですし、クラシックコンサートやオペラを楽しみに東京に来る富裕層もけっこういます。 実は、上海は今、オペラに力を入れているんです。すごく立派なオペラハウスができていますし、上海で行われるいろんな舞台公演もクオリティが上がっています。そういうレベルの高いエンターテインメントに親しんでいる富裕層にとって、コンサートや舞台芸術が充実している東京は、魅力のある都市だと思います」 爆買い時代のイメージのまま中国人の購買意欲に訴えたり、訪日初心者向けの旅行プランを提案したりしていたのでは、もはや中国人富裕層の心を動かすことは難しそうだ。 ちなみに、行楽ジャパンが運営するコミュニティ「行楽エリートクラブ」の会員は50代、60代の富裕層が中心で、資産は30億円以上。そのクラスは、地方にひっそりと佇む一棟貸しの宿が好みらしい。 「行楽エリートの親日派には、日本でセカンドハウスを購入する人も多いです。大学生の子どもに日本の企業を1社買い与える人も中にはいますね」 円安の今、中国人富裕層による「日本の不動産爆買い」は加速するかもしれない。 袁 静(えん・せい)行楽ジャパン代表取締役社長。上海市生まれ。北京第二外国語大学卒業。早稲田大学アジア太平洋研究科修了後、日経BP社に入社。日本の魅力を中国へ伝えようと’07年から上海にて事業を展開し、’15年行楽ジャパンを設立。現在、上海と東京にオフィスを構え、中国での日本の観光PRに注力している。著書に『日本人は知らない中国セレブ消費』(日本経済新聞出版)。 取材・文:斉藤さゆり
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