円は対ドルで142円前半、米金利低下が支え-米大統領選討論会を注視
(ブルームバーグ): 11日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=142円台前半で堅調に推移。米国市場では原油安を背景に長期金利が一段と低下し、円買い・ドル売りが優勢となった。目先は米大統領選候補者討論会を注視しつつ、日本時間夜に発表される8月の米消費者物価指数(CPI)を見極める展開だ。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は米大統領選討論会について、「トランプ氏が巻き返せばドルが買い戻される可能性もあるが、相当良い印象を与えないと難しいのではないか」との見方を示した。
日本時間午前10時から米大統領選候補者討論会が行われ、共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領が初めて直接対決する。
10日の海外市場では、北海ブレント先物が1バレル=70ドルの節目を割り込む中、米10年国債利回りは3.63%程度と2023年6月以来の低水準を付けた。一方、金利スワップ市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げ織り込みが剝落している。
11日の東京市場では、日本銀行の中川順子審議委員の講演と会見も注目される。ブルームバーグ・ニュースは10日、日銀は今月の金融政策決定会合で政策を据え置く公算が大きいと報じ、円は欧州市場にかけて143円71銭まで売られた。
三井住友信託の山本氏は、8月の米CPIの発表を控えて様子見の雰囲気が強まると予想。「日銀のタカ派委員の発言に市場の関心が高い」ことから、12日に予定されている田村直樹審議委員の講演と会見に注目していると述べた。
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Saburo Funabiki