相手打線を幻惑する新エース 英明が狙う悲願の春初白星 センバツ出場校紹介
5年ぶり3回目の出場となる英明(香川)は、昨秋の四国大会で優勝した勢いそのままで甲子園に乗り込む。多彩な投手陣をそつのない攻撃で援護するのが持ち味。悲願の選抜初勝利を目指す。
打者の手元で動くボール
創部19年目で3回目のセンバツ切符をつかんだ。昨秋の香川県大会では3回戦以降の接戦を勝ち抜き、2年連続5回目の制覇。11年連続の出場だった四国大会では宇和島東(愛媛)、高知を降して、決勝に進出。県大会に続いて高松商を破り、8年ぶり2回目の優勝を飾った。
投手陣は右横手の下村健太郎(2年)が四国大会で急成長した。最速は120キロ台ながら、打者の手元で動く球で緩急をつけ、相手打線を幻惑。準々決勝では1安打完封した。入学時は遊撃手だったが、「一塁に送球しても取りづらいと言われた」と自身が苦笑するほど変化する直球を見込まれ、1年秋から投手に転向した。昨秋の公式戦では6試合に登板し、防御率1.25、36回を被安打15。予測不能な直球で相手打者のバットの芯を外すスタイルだ。 県大会全5試合で先発した右腕・神田晃成(2年)は力のある直球とコントロールの良さが武器。四国大会の準決勝と決勝で先発した左腕・百々愛輝(1年)も控える。
打線は粘り強く得点
打線を引っ張るのは4番・寿賀弘都(2年)。バットコントロールが巧みで長打力があり、俊足を兼ね備える。先頭打者の鈴木昊、外野手兼任の百々の1年生コンビらが粘り強く出塁し、好機を生み出す。 これまで2度出場した選抜は、いずれも1回戦で敗退した。甲子園での勝利は11年夏の1勝だけ。それ以来となる勝利と、その先にある夢舞台での頂点を目指し、チーム一体となって挑む。 香川純平監督は「派手さはないチーム。目の前のプレーを一つ一つ着実に行って戦う」。主将の中浦浩志朗(2年)は「個性的な部員がそろうが、チームの目標は同じ。夏の甲子園にもつながる結果を出す」と力を込める。
OBに走り幅跳び日本代表・桝見咲智子さん
1917年に明善高等女学校として創立。2001年の男女共学化に伴い、英明に改称した。特別進学、進学、情報、総合、一部で遠隔授業を導入したワンステップ――の普通科5コースに分かれ、1343人が学んでいる。 校訓は「自主」「責任」「礼儀」。社会の変化に適応して生きる知恵と力を身につけ、高い倫理観と自主的な行動力を持つ人間の育成を目標としている。 野球部は05年に創部し、現在の部員数は28人。夏の全国選手権にも2回出場し、11年夏に甲子園初勝利。同校卒業生には陸上世界選手権ベルリン大会(09年)女子走り幅跳び日本代表の桝見咲智子さんがいる。