小学生の兄弟を放火殺人 「なんで僕たちにしなかったのか」両親が控訴審を前に心境語る 兵庫・稲美町
読売テレビ
兵庫県稲美町で放火により小学生の兄弟が殺害された事件から丸3年です。裁判の控訴審を12月に控え、両親が今の心境を語り、国の支援のあり方にも疑問を投げかけています。 今年の我が子の命日は、静かに過ごすことにしました。 当時12歳だった松尾侑城(ゆうき)くんと、7歳だった弟の眞輝(まさき)くん。 侑城くん・眞輝くんの父親 「時間は止まったままで、苦しみと悲しみは今もなお続いている状態。まだ小学校6年生と1年生という幼い子どもで、親としての役割がまったく果たせていない」 2021年11月19日の深夜、兵庫県稲美町で侑城くんと眞輝くんが住む家に火が放たれ、2人とも死亡しました。 放火と殺人の罪で起訴された伯父の松尾留与(とめよ)被告(54)は、裁判で妹夫婦、つまり兄弟の両親への恨みを口にしました。 松尾留与被告(吹き替え) 「あいつら(妹夫婦)に精神的苦痛を与えるためにやった」 松尾被告は無断で同居していた妹家族の部屋に入ったり、冷蔵庫にある兄弟の弁当を食べたりしたため、妹夫婦が室内にカメラを設置。 嫌悪感を抱いた松尾被告は、妹夫婦が不在の時に、家にガソリンをまいて犯行に及びました。 カメラには、亡くなる直前の兄弟の様子が記録されていました。 侑城くん(当時小学4年生) 「お父さん、お母さん、僕を産んでくれてありがとう。僕の将来の夢はプロ野球選手です」 野球が大好きだった2人。 両親は、焼け残ったわずかな形見を大切に飾っています。 侑城くん・眞輝くんの父親 「侑城が実際に使っていたグラブで、倉庫に入っていたので助かった。すすとかやっぱり残っていて」 「これは眞輝が使っていたグラブ」 「思い出の品は燃えても、子どもたちさえいれば、再び思い出をこしらえることができる。でも子どもは もう二度と帰ってこない」 「どうして僕らに恨みがあったなら、子どもたちではなく、僕たちにしなかったのか」 検察側が死刑を求刑する一方、神戸地裁姫路支部が言い渡した判決は懲役30年。 「親族間のトラブルが背景にあり、被告の軽度知的障害の影響も否定できない」などと、事情が考慮されました。 検察側は判決を不服として控訴しましたが、遺族を二重に苦しめる出来事も。 侑城くん・眞輝くんの父親 「給付金が3分の2 減額された。“親族”であるために」 国が犯罪被害者に支給する給付金は、被害者が子どもの場合、最低320万円ですが、加害者が親族であることを理由に3分の1に減額。両親は「関係は破綻していた」と訴え、決定の取り消しを求め民事裁判を起こしています。 侑城くん・眞輝くんの父親 「そもそも親族間という事だけで、(決定に)違和感を感じる。苦しみは親族間ということは関係なしに、大事な子どもを奪われた、命を奪われた被害者。親族も何も関係ない」 家族で毎年出かけた花火大会。この場所に、みんなで来ることはもう二度とかなわなくなりました。 侑城くん・眞輝くんの父親 「来るたびに、まだその辺に 侑城と眞輝がいるのではと思うこともあります」 「そこで石投げをしていた」 事件から3年、二重の苦しみを抱えながら続く遺族の闘い。刑事裁判の控訴審は12月17日に始まります。 侑城くん・眞輝くんの父親 「悔しいです」 「子どもたちには こういう(懲役30年の)判決が出たというのは、今も報告していない。ちゃんとした判決が出るまでは、たぶん子どもたちも納得いかない」 「これからも闘うつもりでいるので」