県内交通事故死22人 過去最少ペース、自転車はゼロ
●25日時点、飲酒事故は20年以降最多 富山県内の今年の交通事故死者数が25日現在で22人と、過去最少だった2020年の26人を下回るペースで推移している。前年6人だった自転車事故の死者はゼロで、安全利用の啓発や取り締まり強化が奏功したとみられる。一方、飲酒運転による事故は27件で、20年以降最多となっており、県警は年末年始の取り締まりに力を入れる。 【写真】自転車販売店に道交法改正の周知を依頼する警察官 交通事故死者数は統計の残る1945(昭和20)年以降、72年の213人が最多だった。その後は減少傾向が続き、令和の5年間は26~34人だった。今年は死亡事故が新たに起きなければ、ピーク時のほぼ10分の1となる。 死者数減少の要因の一つに、自転車走行中の携帯電話使用(ながら運転)と酒気帯び運転に罰則を新設し、11月に施行された改正道交法があるとみられる。 県警は施行前の7月から自転車の安全運転を呼び掛ける啓発活動を展開。県内の自転車事故発生件数は25日時点で208件にとどまり、昨年1年間の271件から大きく減る見込みであり「自転車利用者の間で交通安全の意識が高まっている手応えはある」(交通企画課)としている。 県警によると、今年は25日時点で人身事故発生件数は前年同期比40件減の1797件、死者数は9人減の22人、負傷者数は2人減の2059人。高齢者の死亡事故が目立ち、死者22人のうち、65歳以上は7割に当たる16人で、この中の11人は歩行中に巻き込まれた。 日本自動車連盟が8月に実施した信号機のない横断歩道での車の一時停止率に関する調査で、富山県は31・6%で全国最下位となった。飲酒運転による事故では死者が2人、負傷者が30人に上る。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う飲酒の機会が増えたことも背景にあるとされ、県警交通企画課の西村充次席は「飲んだら乗らないを徹底してほしい」と話した。