中日の抑え、R・マルティネスは「残竜」なるか 契約切れの今オフに大争奪戦も?
中日のクローザー、ライデル・マルティネスは今季が3年契約の最終年。オフには残留を含めた大争奪戦が繰り広げられそうだ。 【動画】スタジアムを熱狂させた待望の一発!ビシエドの今季1号ホームランを見る 本人がチームや名古屋の街に愛着を持っていることは、ファンならばご存知の通り。キューバ政府から「派遣」の形を取っているだけに、彼の一存では来季以降の所属先を決められないのがもどかしい。 本稿ではマルティネスの現況、オフの残留の可能性や、獲得に動きそうな他球団の状況を整理したい。 ■現状は「3年契約の最終年、単年2億円プラス出来高」 2017年から中日に加入したとき、マルティネスは弱冠20歳。同年のWBCキューバ代表に選ばれるほどの有望株だったが、当初は育成契約だった。 2年目に支配下登録され、3年目からリリーフに専念。これがハマり、4年目の2020年から現在のポジションである抑えを担い始めた。この頃には160キロ前後の速球と宝刀・スプリットの投球スタイルが確立され、以降は故障以外でポジションを明け渡したことはない。 今季も8月30日現在で35セーブを記録。これはリーグトップタイの数字で、自身2年ぶりのタイトル獲得も視野に入れている。今季のピッチングの特徴として、例年に比べると奪三振率こそ低いものの、これは平均球速を抑えていることと、第3の球種・スライダーの投球割合が増えていることが理由と見られる。 現在の3年契約は2021年オフに結んだもので「年俸2億円プラス出来高」と言われている。これはマルティネスの実力、チーム内の年俸バランス、他球団の抑えを鑑みても格安だ。来季以降はかなりの大幅増をしないと、価値に見合わない。 ちなみに中日の歴代最高年俸はタイロン・ウッズの6億円。抑え投手だと岩瀬仁紀の4億5000万円が最高だ。 ■残留が基本線だろうが… 7月19日付『中日スポーツ』の報道によると、7月には残留交渉をスタートしているという。前述の通り、本人もドラゴンズに愛着を持っていると言われ、まずは残留が基本線になるのが自然だ。 それでも、他球団は指をくわえて見ているわけにはいかないだろう。 例えばソフトバンクは大型契約中のロベルト・オスナを擁するが、資金力の強さを武器に参戦するか。今季はオスナが不調で、リバン・モイネロが先発に回ったことも、獲得に乗り出すには十分な理由と言える。 他にも日本ハムは「エスコンマネー」と同胞アリエル・マルティネスの存在が際立ち、阪神も絶対的守護神の不在を理由に獲得に乗り出すかもしれない。巨人やDeNAは現状確固たる抑え投手がいるものの、さらなる救援陣強化のために参戦してもおかしくはない。 いずれにせよ憶測の域は脱しないが、一つだけ言えるのは、ライデルは大争奪戦に値するスーパークローザーであること。いずれその一挙手一投足から目が離せない季節がやってくる。 [文:尾張はじめ]