2冠を目指す富士通レッドウェーブ、Bリーガーの弟に刺激を受ける内尾聡菜「弟の方が知名度が高いので、私も頑張ろうという気持ちに」
「『どっちかはオフェンスが得意であれよ(笑)」』っていう話をしました」
文=丸山素行 写真=FIBA.com 富士通レッドウェーブは昨シーズンに16年ぶり2回目となるWリーグ優勝を達成した。中心選手の慰留に成功し、さらに代表経験のある宮下希保を獲得と、新シーズンも優勝候補の一角であることは間違いない。 不動の先発フォワードとして優勝に貢献した内尾聡菜も本日開幕する新たなシーズンを待ちわびている「合わせ切れていない部分やディフェンスの調整など、まだやるべきことはありますが、雰囲気は悪くないですし、これからがすごく楽しみです。テーマはディフェンスで、『ディフェンスから』とずっと言われている中で信頼してずっと試合に出していただいてるので、そこを崩すことなくチームに貢献したいです」 内尾は177cmながらガード陣に食らいつく軽快なフットワークを持ち、自身よりも大きな選手を自由にプレーさせないフィジカルの強さも兼ね備えている。ディフェンスに定評がある内尾だが、富士通に入団した当時は自身の武器を見い出せなかったという。それでも、自分が何をすればチームに貢献することができるかを考え続けた結果、ディフェンスが武器となった。 「私は(当時は)オフェンスなんか全くできなくて、本当に何も通用しなかったです。でも当時からディフェンスからブレイクということをチームは掲げていたので、『じゃあ、今の自分には何ができるんだろう』、『マイナスにならずに何でプラスになれるんだろう』と、自分のやれることを追求していった結果、たどり着いたのがディフェンスでした。今年で9年目なんですが、全く何もできなかった時期から少しずつやれる時期を経て、それなりに順応してきているかと思います」 このようにディフェンスのイメージが強い内尾だが、昨シーズンはキャリアで初めて平均2桁得点(10.33)を挙げるなど、オフェンスの成長も著しい。今やディフェンスだけの選手じゃなくなり、日本代表にも選出されたが、オフェンスの急成長の裏には確かな反骨精神があった。 「たくさんワークアウトをして、今自分に必要なところだったり、チームとして必要なところを徹底的にやってきました。相手のディフェンスに捨てられることもありました。それが悔しくて、その悔しさからやれることは増えたのかなと思います」 「3ポイントシュートが武器の選手はたくさんいます。3ポイントを打つ選手のスペースを空けるために、シュートまで行けなくてもドライブして、そこでズレを作ってパスを出す。そこでフィニッシュに強く行くことでフロー(流れ)が良くなることは自分自身も意識してきました。そこは少しずつ通用している手応えはあります」 ちなみに内尾には、自身と同様にディフェンス力が持ち味である弟、内尾聡理がいる。彼は昨シーズンに特別指定選手ながら千葉ジェッツで先発を勝ち取り、今シーズンからファイティングイーグルス名古屋に加入し、プレータイムを伸ばしている。聡理は以前「姉は意外と試合を見てくれているようで、『今日はこうだったね』とか、メッセージをくれます」と、姉弟の交流について明かしてくれた。そして内尾も、そんなBリーガーの弟の活躍に刺激を受けているという。 「弟が最初に取り上げられるようになりました。(持ち味が)ディフェンスって言った時に、『どっちかはオフェンスが得意であれよ(笑)」』っていう話をしました。福岡第一の時は背格好も似ていたので本当に嫌だったんですけど、今はBリーグに行ってすごくいろんな刺激を受けています。『とりあえず、がむしゃらに頑張りたい』という話はよく聞いていますが、弟の方が知名度が高いので、そこに負けずに私も頑張ろうっていう気持ちになっています」 押しも押されもせぬ、リーグトップクラスの2ウェイプレーヤーになりつつある内尾。彼女が得意のディフェンスに加え、オフェンスでもさらに存在感が高まれば、チームの連覇はグッと近づくはずだ。その結果、弟よりも知名度は増し、ひいてはWリーグの発展にも寄与するかもしれない。
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