ソーセージが好きすぎてドイツへ移住し肉屋で猛修行中! ソーセージ姉さんの偏愛性
◇ドイツに移住してすぐにソーセージ会を開催 9年勤めた印刷会社を退職し、ドイツに渡ったソーセージ姉さん。最初の1年間は語学学校に通いつつ、日本食レストランのアルバイトをしていた。 「最初はハイデルベルクの語学学校に3か月くらい通っていて、次にライプツィヒという街の日本食レストランでアルバイトしていました。そこで仲良くなった日本人の方、2~3人とソーセージを作る会もしました。作り方を教えて、一緒に作って食べて……みたいな。 最初は私がソーセージを作るっていうことを自己紹介で伝えたら、“私も作ってみたいです”って言われて。あとはソーセージを作った写真をXにアップしたら、興味を持ってくださった方が多かったので、作りたい人DMくださいって呼びかけて。全部で10回ぐらい開催した気がします」 ドイツでの生活はかなり充実しているようだ。移住から約1年が経った今年の5月、住んでいた町のお肉屋さんに「アウスビルドゥング(職業訓練制度)の受け入れはやっていますか?」と聞いて回った。そして、現在も働いている肉屋での勤務が始まったという。 「初日に“なんでドイツに来たの?”と聞かれて、正直に“ドイツのソーセージ食べに来ました”って伝えたら、驚かれましたね。“それが理由!?”って」 ソーセージ姉さんは現在、毎朝3時頃に起きて、路面電車で30分ほど揺られ、5時から12時くらいまで勤務、という日々を送っている。 「通勤中に新しく習ったことを復習しながら向かっています。会社に着いて、制服に着替えるのですが、男性用しかないのでサイズが大きいんです(笑)。 私の担当業務はお肉をさばくことです。牛肉だったら脂の部分と赤身の部分と腱の部分とに切り分けて分類する、豚肉の場合も似たように切り分けて骨を取り除いて、鶏肉も羽の部分と脚の部分と皮の部分とムネ肉の部分に切り分けて……みたいな。すごい大きいお肉の塊を渡されるのですが、最初は力の入れ方がわからず苦労しました。 だいたい5時から7時ぐらいになると休憩があって、職員みんなで会社の裏に出てコーヒーを飲んでいます。タバコ吸いたい人はタバコ吸って、10分ぐらい休憩したら、作業場に戻って作業を続けて……そこから2時間くらい働いて、休憩して。そういうのを繰り返して12時ぐらいまでには勤務が終わります。 そこから清掃などをして、職場でお昼を食べて帰っていきます。お肉料理もありますし、魚料理もたまに。それこそシュニッツェルっていう、肉の揚げ物が出るときもあります」 ◇本場でのソーセージ作りは悔しいことの連続 勤務を始めた頃は悔しいこともあったそうだ。 「こんなにも言葉の壁が大変だとは思わなかったですね。上司が伝えようとしてくれていることが、くみとれないことの悔しさとか。頑張って伝えようとしてくれていることがわかるだけに、余計にテンパっちゃったり、どうしようってなっちゃったりして、お互いに大変でした。 それから、すごく腕が太くて力のある上司が、さっとやっている作業を、私が一発でマネできるわけでもなくて……。パワーが違うし、スピードも全然違って悔しい思いをしました。少しずつ動けるようになってきたとは思いますけど、まだまだこれからだなと思います」 そう話しながらも、ソーセージ姉さんの表情に悔しさは感じられない。その理由を問うと、次のように話してくれた。 「私はだいぶ良い環境で働かせてもらってるなって感じているんです。もともとドイツ人以外の人も多くて、外国人に対する拒否感がない職場なので、温かく迎え入れてもらえたのは運が良かったし、上司もすごく良い人なんです。私に何かを教えるときは、言葉よりもやって見せたほうがわかるって、途中から気づいて、わかんなかったら聞いてねって教えてもらっているので、すごく助かってます。 私が勤め始めてすぐの頃、上司の誕生日があったのですが、清掃時にみんな作業を止めて、一緒の職場で働いている奥さんの手作りケーキをみんなで囲んで、お酒を飲む時間があったんです。すごくアットホームな職場なんです」 自分の好きなことを仕事にしているソーセージ姉さん。しかし「この生活を薦めたくはないとは思っています」と話す。 「言葉が違うところで働いてみて実感しているのは、誰にも薦めたくないっていうのが正直なところですね(苦笑)。もちろん、自分がやりたいって決めたことだから、やりますし、やり通したいって思うんですけど、もしも自分の友達が同じことをやろうとしたら、“こういう試練があるぞ”って止めたくなると思います」 そう話したうえでも、今の生活は楽しく充実しているものだと続ける。 「私がいるところが恵まれた環境だというのもあるんですけど、言葉が通じなくても、“この人、私に優しくしようとしてくれてるんだ”とわかったときとか、私の行動を相手が理解しようしてくれたときは、すごくうれしい気持ちになるんですよね。言葉はわかんないけど“私たち、わかり合えたね。同じ人間なんだ”ってなるので、そういう少しずつの積み重ねで頑張れています」 将来は「家族の住む地元で、自分のお店を持てたら」と笑顔で話すソーセージ姉さん。その強い意志で、夢をいつか叶えることだろう。 (取材:於 ありさ)
NewsCrunch編集部