「30年2%超」と「後出しじゃんけん」がキーワード、生保の円債投資
(ブルームバーグ): 生命保険会社による2024年度の超長期債投資のキーワードは「2%超」という利回り水準と、日本銀行の利上げで金利が上昇してから投資に踏み切る「後出しじゃんけん」だ。夏から秋にかけて予想される日銀の利上げ後に超長期債利回りが2%をある程度超えるまで、生保の超長期債投資は抑制的になりそうだ。
明治安田生命保険の北村乾一郎運用企画部長は、現在は超長期債を「積極的に積み増す状況ではない」と言う。日銀の利上げは早ければ7月とみており、利上げがあれば、30年債利回りは2%を超えていくと予想する。来年も1回か2回の利上げを想定し、「日銀が利上げしたら後出しじゃんけんでいくのがポリシーだ」と語った。
米国の利下げ時期が後ずれし、日米金利差の縮小が遠のくとの見方から為替市場では円安が加速している。円安は国内物価を押し上げ、日銀の利上げが早まることへの警戒感から金利にも上昇圧力がかかっている。債券市場では生保など主要投資家の買いに期待が高まるが、その多くは超長期債投資に依然慎重で、市場の期待は肩透かしに終わるかもしれない。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、生保は30年債金利2%を投資を加速させるめどとして示す向きが多いと指摘。 「30年債金利が生保需要を喚起する水準に達するまで、需給面から金利上昇圧力が加わっていく可能性がある」とみている。
生保の多くが意識する超長期債利回りの水準は「2%超」だ。かんぽ生命保険の野村裕之執行役員兼運用企画部長は、30年債利回りが2%を超えれば「魅力的だ」と話す。富国生命保険は残存20-30年債の平均的な利回りが2%超になるまで積極的な積み増しを控える方針だ。森実潤也財務企画部長は、それまでは「利回りの低い銘柄を売却し、残存期間の長い銘柄に入れ替えるオペレーションにとどめる」と言う。
30年債利回りは24日時点で1.95%と2%に迫るが、2%を超えたからといって生保が一斉に買い出動するとは限らない。住友生命保険の増田光男運用企画部長は、現在の水準は「負債コストとの対比で十分魅力的だが、まだ金利上昇余地があるとみているため、この水準で集中投資するという判断はしていない」と説明。「できるだけ高い利回りで投資できるよう機動的に投資する」と述べた。