「勝ちの味を知らない」選手たちがつかんだ総体出場権…選手交代で流れ変えた阪南大高、大阪桐蔭下して全国へ!!
[6.8 インターハイ大阪府予選準決勝 阪南大高 2-0 大阪桐蔭高 J-GREEN堺S1] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 8日、令和6年度全国高校総体(インターハイ)大阪府予選の準決勝が行われた。阪南大高と大阪桐蔭高による第2試合は、前後半に1点ずつ奪った阪南大高が2-0の勝利。3大会ぶり6回目の全国大会出場を決めた。 FW鈴木章斗(J1湘南)を要した3年前は夏冬ともに激戦区・大阪を制して2冠を達成した阪南大高だが、以降の2年間は無冠。上位が定位置だったプリンスリーグ関西1部でも苦戦が続いていた。「選手たちは2年間、勝ちの味を知らない。勝ち方は教えられないので、勝たせてあげるしかない」。そう話すのは濱田豪監督で勝利の喜びを再び知って、強い阪南大高を取り戻すことが今年の目標。ひとまず全国大会出場をつかみ取れた価値は大きい。 スコアを見れば快勝となったが、決して楽な試合展開ではなかった。MF柏大輝(3年)ら打開力十分な選手によるサイド攻撃が今年の持ち味だが、3-4-3で守備を固める大阪桐蔭を外から崩すのは簡単ではない。指揮官が「点が取れるのが福本の良さ。今日は彼に点を取らせて差を付けたいと思っていた」と振り返る通り、本職ボランチのMF福本一太(3年)をトップ下に置いて、中央をこじ開けようとしたが、思い通りにはいかない。 「フリーで受けて起点になろうと考えていたけど、ボランチとCBの間を締めていたので、空間がなかった。閉められているのに、そこを狙いすぎていたので上手くいかなかった」と口にするのは福本で、ボールロストから自陣に持ち込まれる場面が続いた。 前半は完全に大阪桐蔭のペースで、3分には空中戦のこぼれ球をMF柴田柊大(2年)がミドルシュート。14分にはミドルゾーンで得たFKをFW小松和史(2年)が直接狙ったが、左ポストに阻まれた。大阪桐蔭が放ったシュートは前半だけで7本。守備でもDF小門楯(3年)が圧倒的な強さを発揮し、セカンドボールを確実に回収していく。 阪南大高のベンチは悪い流れを変えるため、早い時間帯から動く。24分に投入したMF瀬尾優斗(2年)をトップ下に入れて、福本をボランチに入れると直後の28分には決定機が到来する。福本のヒールパスを受けたFW弓場潤哉(3年)が「最近はトラップしてから奪われるシーンが多かったので、今日は前を向いてプレーすることを意識していた」と強引にPA右を突破し、ゴール前にクロス。中で待ち構えた瀬尾が冷静に決めて、均衡を崩した。 「みんなの緊張が解れて、全員が落ち着いていつも通りにプレーできた」と福本が振り返る後半は阪南大高のペースで試合が進む。後半7分には左CK付近で得たFKを弓場が直接狙ったが、クロスバー。8分には右CKからDF上田蒼太(3年)がヘディングシュートを放つなどスタンドを沸かせる場面が続いた。 18分には福本のパスからMF伊藤成康(2年)が左サイドを突破。中に入れたボールから放った瀬尾のシュートはGKに阻まれたが、こぼれ球を柏が押し込み、リードを2点差に広げた。以降はチャンスを作りながらも3点目は奪えなかったが、最後まで無失点に抑えて勝利。「目標にしていたのは全国大会出場だったので、達成できて嬉しい」と福本は安堵の表情を浮かべた。 阪南大高はプリンスリーグ関西1部でも6節を終えて、5勝1分けで首位。「プリンスが始まってから無敗でやれている。負け癖は付けないでおこうと話している中、どの試合も粘り強く戦えていたので、勝ち癖は戻ってきている」(福本)。 今予選では準々決勝でPK戦での勝利を経験するなど苦しい試合もあったが、きっちり物にしてきた。圧倒的なボールハント力を誇る福本を筆頭に全国に出れば、注目を集めそうなタレントも揃っているため、期待値は大きい。「大阪のてっぺんはもちろんですが、全国でもベスト4や優勝を狙えるぐらいの実力があるとは思うので、全員でもっと上を目指してやっていきたい」。そう話す福本を筆頭にまずは9日の決勝で一つ目のタイトルを掴み、全国での躍進を狙う。