「絶対酔っ払わせてくれるガールズバーあります!」 東京・蒲田の客引き摘発の瞬間
日テレNEWS NNN
コロナ禍が明け、夜の街の人出も増加傾向にある中、繁華街には悪質な客引きが後を絶ちません。私たちは違法な客引きを摘発する警視庁の捜査員に密着。警察官に気づき逃げ出す客引き、確保の瞬間を取材しました。
■「動くな!」逃走する客引き 摘発の瞬間
12月、東京・蒲田の街を歩く男性3人組。実は、違法な客引きを取り締まる私服警察官です。警察官のメガネにはカメラがついていて、客引きの実態を取材するため今回、特別に装着を許可されました。 午前0時をすぎた頃、この私服警察官に“客引きの男”が「兄貴!もう一軒どうですか」と声をかけてきました。 警察官 「帰るんですよ、きょうは」 客引き 「“いちゃキャバ”なんてどうですか?新店なんですよ。“いちゃキャバ”。すぐそこなんで」 「ここの3階なんですけど」 客引きをしつこく続けるのは法律や条例違反にあたる行為です。 「(店)行く感じですか?」と尋ねると、「そうです!もしよければ!」と答えた男。すると、次の瞬間、警察官が「お兄さん、警察、警察」と明かすと、男は逃げ出しました。 そのまま、逃げ出した男と警察官はもみ合いに。 警察官 「動くなって。また違う犯罪になるから、動くな」 客引き 「わかりました…。すいません」 男は約100メートル逃走を図った末、抵抗をやめました。 警視庁によりますと、逮捕された男(27)は先月から営業を始めたキャバクラ店のオーナーで、オーナーみずから客引きをしていたといいます。
■多数の客引き 記者が歩くと…
多くの飲食店が立ち並ぶ東京・蒲田の繁華街。コロナ禍が明け、街の人出が増加傾向にある中で、今年、都内で摘発された客引きは307人にのぼるといいます。(※11月末時点の暫定値) 男が逮捕された2日後にも、蒲田の駅前の通りには数え切れないほどの客引きの姿がありました。 取材中に通行人に声をかけるなどした“客引き”とみられる男女は、少なくとも11人。執ようにつきまとうなどして店に呼び込むことは法律や条例で禁止されていますが、記者がその場所を歩いてみると、すぐに2人から同時に誘われました。 さらに、「副店長なんで、めっちゃうまいことやります」などと声をかけてくる客引きも。 一緒に歩きながら声をかけてきましたが、突然止まるように促されました。 客引き 「動いてると色んな人がしゃべりかけてくるんで。ゆっくり交渉できないんで」 「普段ガールズバーとキャバクラ行きます?」 記者が誘いを拒んでも…。 客引き 「1回聞いて下さい。絶対酔っ払わせてくれるガールズバーとキャバクラあるんで!」 ◇ こうした誘いに乗って、被害にあった人もいます。 会社員(30代) 「1時間で11万円取られたことありますよ」 元々は3000円と言われたとのことですが、「1杯2000円のドリンクが40本ついていましたね」。会計の際、ぼったくりに気づきましたが怖くて支払ったといいます。 ◇ 被害を防ぐため、駅前には別の日にも私服警察官の姿がありました。 「ちょっと待って下さい」「女の子系こういうのやってるので」と声をかけてきた客引きの男。警察官が「帰ります」と言っても「ヒマなんで!」と続けてきました。 警察官 「こわいっす」 客引き 「全然、お安く、最安でやるんで!」 20メートルほどついてきたところで、警察は身分を明かし、逃走を防ぐため「動くなよ」「東京都迷惑防止条例違反ね」と、男を瞬時に取り押さえて現行犯逮捕しました。 警察官 「客引きダメだよ」 客引き 「はい、すいません」 男(34)は客引きをしたとしてこれで3度目の逮捕だといいます。 逮捕しても新たな客引きが立つ『いたちごっこ』だといいますが、警視庁はしつこい客引きを防ぐためにも、今後も厳しい態度で臨むとしています。