食文化生かした観光を インバウンド見据え実証イベント 奄美市笠利町
富裕層の訪日外国人(インバウンド)誘客を見据え、地域の食文化を生かした観光「ガストロノミーツーリズム」を推進する実証イベントが11日、鹿児島県奄美市笠利町の宿泊施設「ティダムーン」などであった。国内外の旅行会社や地元の観光事業者、食材の生産者など約20人が参加。島の食材を使ったコース料理を試食し、旅行商品としての奄美の価値に理解を深めた。 観光庁が取り組む「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」の一環。この事業は、国が2022年度と24年度に「モデル観光地」として選定した全国14地域が対象。富裕層のインバウンド受け入れを地方にも広げることが目的で、沖縄・奄美エリアも含まれる。 選定後、マスタープランや事業計画の策定を経て、今年度から各対象地域で支援を開始。27年度までの期間中にさまざまな実証事業を行い、旅行プランの商品化や販売につなげたい考えだ。 今回の実証イベントは、地域資源を活用した事業を展開する「ONESTORY」(東京都)が受託。コース料理は、神奈川県横浜市のレストランでシェフを務める米国出身のタイラー・バージス氏が監修。イベントに参画した島内の宿泊施設など5社の料理人らと共同で調理し参加者らに振る舞った。 イセエビや夜光貝、マコモなど地元食材をふんだんに使い、さまざまな調理方法で提供。参加者らは各種メニューに関する説明に興味深そうに耳を傾け、繊細な味に舌鼓を打った。 カナダの旅行会社でプランナーを務めるアレックス・ズギリンスキーさん(32)は「自国とは異なる食文化や伝統工芸、自然などを体験できるプライベートな旅に需要がある。奄美は懐かしさを感じられる入りやすい場所。ぜひ客を連れて来たい」と話した。 ティダムーンの肥後勝代代表取締役(78)は「どれもおいしかった。新しい発想の料理から気付かされることが多く、今後取り入れていきたい」と語った。