「馬は一緒に働くビジネスパートナー。お荷物とは言わせたくない」 名馬たちの個性をプロデュースし、引退馬ビジネスに革命を起こすヴェルサイユファームを訪ねて(前編)
ヴェルサイユリゾートファームは18年に北海道・日高町に開場。同所からほど近い場所にあり、崇文さんの母で元タカラジェンヌの岩﨑美由紀さんが社長を務める生産牧場ヴェルサイユファームの養老部門として立ち上がった。
東京都出身の崇文さんは、小学校から乗馬のキャリアを積んできた。大学卒業後は大手企業への就職が内定していたが、美由紀さんが再婚した義父が15年に亡くなり、「牧場を継いでほしい」という遺言を守るため、北海道への移住を決意した。
母が切り盛りするヴェルサイユファームをサポートする中、崇文さんに転機をもたらしたのが10年のジャパンCを制したローズキングダムだった。けがのため18年に種牡馬を退き、余生を送るために同牧場へやってきた。17年から引退馬を数頭預かっていたが、GI馬の反響は想像を超えた。ファンから見学の問い合わせが殺到し、子馬や母馬を扱う生産の現場では対応が困難となり、「引退馬が余生を送れる牧場」としてヴェルサイユリゾートファームを立ち上げることになった。
「ローズがいなかったらここまでやっていなかったとは思うし、ローズが来たからこの場所を探すことになった。他の馬だったら生産牧場のみで養老部門は完結していたと思います」と〝はじまりの馬〟に感謝する。
競走馬は年間で約7000頭が引退する。種牡馬、繁殖牝馬に上がるのは約1300頭、乗馬は約3000頭で、再びその仕事を退いた後はさらに半数近くが〝行方不明〟になってしまうという現実がある。
小さな頃から馬と生きてきた若者にとって「動物園に馬がいない」「行方不明になる」ことは不思議だった。乗馬を通じて馬の優しさ、温かさ、聡明さを知れば知るほど、「日本では競馬場に行かなければあまり馬を見ることができない。非日常な存在」と実感した。「もうちょっと馬を身近な存在にできれば、何かが変わるんじゃないか…」と馬の居場所を増やしたい気持ちがふつふつと沸いてきた。
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