ルクセンブルクは月41万円! 農場や皿洗いの求人に日本人が殺到…円安で人気「ワーホリ」厳しい現実
英語が話せなくてもいい「農場や皿洗い」の求人に日本人が殺到して……
太田さん自身も留学を経験している。動機はこうだった。 「きっかけは、元マッキンゼー東京支社長の横山禎徳さんとの出会いです。大学在学中に友人と起業した会社がうまくいって、自分は無敵だと思っていた頃にたまたまお話しする機会があって。『きみはグローバルの意味を履き違えている』と、完膚なきまでにボコボコにされました。 当時の私は英語を話せなかったですし、外国人の友人も一人いただけ。あまりに世界を知らなさすぎることを初めて自覚し、『世界がどうなっているか見てみよう』と思い立ちました。それから2年後の’10年、会社を辞めて3ヵ月間フィリピンに英語留学したんです」 日本では、社会人の留学は多いのだろうか。 「全体の3割ぐらいだと思います。ちなみに、当社は社会人の留学が半分ぐらい。20代半ばから後半に会社を辞め、ワーホリ制度で語学留学する人はけっこういます。 社会人の留学目的としては、英語力を伸ばしてキャリアアップにつなげたい、異文化や海外生活を体験したいなどが挙げられます。海外でお金を稼ぎたいという人もいますが、その場合は留学よりワーホリをメインに考えているんでしょう。 でも一番多いのは、長い人生の中で1年ぐらいは海外で暮らしてみたいと、ふわっと考えている人たちかもしれません」 目的も将来展望もなく、ワーホリ制度で「ふわっ」と海外へ。滞在が有意義なものになるとは考えにくいのだが……。 「留学するのであれば、それ相応の英語力を伸ばして帰ってこないと、海外にいた1年間は何だったのとなってしまうことは確かです。だから私たちも、事前の英語の勉強から滞在している間の英語学習までしっかり自分の意思と計画を持って臨みましょうと伝え、現地での就労を考えている人には、働くのに必要な英語力を身につけるための有効な留学の仕方をアドバイスします。 というのも、英語をある程度話せないと、ワーホリで就ける仕事がかなり限られてくるからです」 ワーホリ目的でオーストラリアに渡航した日本人の厳しい実態が、メディアでたびたび取り上げられてもいる。 「オーストラリアの炊き出しに、ワーホリで滞在中の日本の若者が並んでいる姿がニュースで報じられましたが、それぐらい行き詰まっている人たちはいます。ワーホリで仕事に就けない日本人の大半は、英語がほとんどできないまま現地に行った人たちなんです。YouTuberやインフルエンサーの『稼いでいるよ』という発信が、少なからず影響している気がします。 それに、オーストラリアでは去年あたりから、仕事探しが激戦状態なんです。たとえば農場や工場の作業、レストランの皿洗いなどは、英語があまり話せなくても割と使ってもらえます。それが、ワーホリ人気で農場やレストランの求人に日本の若者が殺到するようになり、就労がままならない。英語が苦手だとどうしても不利で、苦戦する人が一定数いるようです」