なぜ中日は10年ぶりの8連勝を果たせたのか?与田監督が明かした理由は「反省」と「根気」
その10年前の8連勝時のオーダーは井端―荒木の1、2番に森野、ブランコ、和田のクリーンナップ、6番に藤井、7番に小池(この2人は前後移動あり)、8番に谷繁という不動の顔ぶれ。ちょうど8連勝目の先発は朝倉だった。抑えは岩瀬である。 当時のメンバーに比べると、与田中日の8連勝のメンバーは盤石とは言えない布陣である。打線にしてもブルペンにしても機転を利かせながらようやく固まってきた。戦力からすればよく戦っている。 なぜ8連勝を果たせたのか? 「選手の頑張り以外にない。スタッフも一生懸命サポートしてくれているしトレーナーもそう。負けているときに頑張っていないわけじゃないが、うまくいかなくても続けてきたことが、今、こういう形になっている」 そう答えた与田監督にさらに突っ込んでみた。 「さっき会見でも言ったけど、選手の頑張りしかない。結果が出なくても、選手は去年の秋から今年にかけてやってきたことを続けている。うまくいかないとコロコロ変えたがるものだが、そういうこともなく根気強くやってきた。コーチも根気強くやらせてきた」 これは与田監督も師事する“大御所”の広岡達朗氏が西武の黄金期を作った監督時代にやっていた作業である。与田監督は、伊東ヘッド、阿波野投手コーチ、村上打撃コーチ、中村バッテリーコーチらと常に意見交換をしながら意志を統一。ぶれない指針を貫いてきた。それがもう実りつつある。 ――相手の自滅を見逃さず勝利につなげる。負けていたときと逆のパターン。こういう流れをつかむチームを強いチームと言う。 「こういう流れは、どこでどうなるかわからない怖さはある。でも負けてもやるべきことをやってきた。周りは、結果で判断するが、中でやっている我々は、負けてもここはうまくいった、よくやったという手ごたえはあった」 与田監督は「例えば」と具体的な例を出す。 「凡打に終わった打席の中でも初球に振れたじゃないか?という部分があった。そういうものを見せていくと徐々に相手を追い詰めることになっていく。プロの戦いというのは、長いペナントレースを戦う上で、そう印象づけていくことが大事になる。根気強く、そういうことを春からやってきた。うまくいかなかったこともある。僕の采配で負けたゲームもたくさんある。でも、みんなが、それぞれ反省して根気強くやってきたことが、今は形になりつつあると思う」 反省と根気。 どのチームも調子の波線グラフを描きながらペナントレースを戦う。その波線グラフの波をいかに小さく抑え、その波線の好調時をいかに長く保つか。それが首脳陣の腕の見せ所である。波線の下の方で続けていた「反省」と「根気」が、今、そのグラフを上向きにキープするための土台となっている。それは、監督業が初となる与田監督にとっても重要な経験値となってきた。この8連勝はヤクルト、広島、阪神、横浜DeNAと首位の巨人を避けた相対的対戦カードの“妙”も味方した。与田監督は“持っている”のかもしれない。