与論で初の公道訓練 災害備え、町も連携強化期待 陸自奄美警備隊
陸上自衛隊奄美警備隊は21日、鹿児島県与論町の公道で徒歩行進訓練を行った。同隊が与論島で訓練を行うのは初めて。今年4月から徳之島、沖永良部島、与論島が同隊の担当区域に加わったことに関連し、災害や有事に備えた島の地形把握などが目的。同町の山下哲博副町長は「与論町は一島一町の小規模自治体で災害時には外部からの支援が不可欠。訓練を通じ地域の特性を理解することは、災害時の迅速、的確な対応に生かされると思う」と期待を示した。 同隊は24日に行われる「第31回ヨロンマラソン」で救護など支援を行うため来島。町と調整の上、初めて公道訓練を行った。本部中隊の隊員15人が水や食料などの救援物資約20キロを背負い、約7時間かけ約25キロメートルを行進。銃器類は携行しなかった。 訓練の小隊長を務めた中村智貴2等陸尉(46)は「平坦だが道幅が狭く、大型車両の離合は難しい地形だと実感した」、奄美市名瀬出身の伊地知蓮2等陸曹(34)は「島の方が笑顔で声を掛けてくれたり手を振ってくれて支えになった。与論のために頑張っていきたい」と語った。 町は防災無線や集落回覧板などで訓練を周知。自衛隊OBで組織する隊友会与論支部(野口高光支部長)のほか、道中で隊員を励ます住民の姿も見られた。茶花在住の原田誠一郎さん(66)は「大きな水害があったばかり。与論の地形を部隊の人たちが把握していれば、迅速に行動してもらえると思う」と話した。 山下副町長は「島の管轄部隊が国分から奄美警備隊に変わったことで、地理的な近さや迅速な連携が図れる点を町として力強く感じている。将来的には陸自との防災訓練などを通じ、より実効性のある災害対応計画を策定していきたい。町としても防災力向上のため必要な協力を惜しみなく行い、地域住民の安全・安心を確保していく」と語った。 隊員らは26日まで与論町防災センターに滞在する。